2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク外部性を考慮した生物指向型生産システムの拡張
Project/Area Number |
20360177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 完次 The University of Tokyo, 人工物工学研究センター, 教授 (50031133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 毅 東京大学, 人工物工学研究センター, 特任准教授 (70396802)
西野 成昭 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教 (90401299)
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Keywords | システム工学 / 設計工学 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究課題では,研究代表者らがこれまで提案し,構築してきている生物指向型生産システムにネットワーク外部性を導入することにより,製品やサービスの社会的受容や普及を考慮したモデルを構築し,現代のネットワーク社会における不完全情報環境下での製品やサービスの有効な設計のための方法論を提案する.具体的には以下の6つの研究テーマを実施する. 1)製造業とサービス業の分析による生産システムモデルの拡張とネットワーク外部性の定式化 2)消費者エージェントモデル構築のためのライフスタイル調査 3)実験経済学的手法を用いたネットワーク外部性を持つ製品の普及や市場メカニズムの解明 4)マルチエージェントシミュレーションを用いたネットワーク外部性を有する市場における製品普及メカニズムの分析 5)ネットワーク外部性を導入した生物指向型生産システムのモデル構築 6)ネットワーク外部性を考慮した製品の設計戦略や製造業とサービス産業の融合による新たな製品開発戦略の提案 本年度は,上記1)~3)の項目について研究を進めた.研究成果は以下のとおりである. 1)のモデル化と定式化に関しては,主に経済学や経営学において議論されてきたネットワーク外部性に関する文献調査を行い,工学的視点からネットワーク外部性の分類と定式化を進めた.さらに,2)の項目で実施したアンケート調査では,具体的な製品の意識や購買意欲などについて調査を行った.アンケートの分析の結果,ビデオレコーダにおけるDVDからBlu-rayへの移行についてはネットワーク外部性の影響を強く意識し,携帯電話の第3世代への移行についてはそれほど意識しないことなどが明らかになった.3)の項目では,シンプルなネットワーク外部性に関する意思決定モデルの被験者実験を実施し,ネットワーク外部性が働く状況下での消費者の購買行動と生産者の製品導入意思決定について調べた.他の消費者の購買情報が分からないという不完全情報下では,新製品の普及が起こりやすい傾向にあることが実験から示された.
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