Research Abstract |
本研究では,研究代表者が属している研究グループにおいて成果を蓄積してきた独創技術である「光波コヒーレンス関数の合成法」による反射光分布測定法(光リフレクトメトリ)技術に,櫛形スペクトル光源や線形掃引光源も適用可能し,測定位置の掃引の高速化を実現する.その上で,精密なアポダイゼイションも実施し,新たな位相制御手法と光源に適応したデジタル信号処理手法も開発して,測定速度とダイナミックレンジの両立を実現する,これらの新たな提案の具体化によって,現存の光リフレクトメトリにおける様々な性能制限を打破し,高空間分解能・長測定レンジ,高感度・広ダイナミックレンジ,高精度・高安定かつ高速,といった高い機能を併せ持つ,光ファイバ加入者系ネットウークの診断に十分な光リフレクトメトリを創成する.さらに,本研究で確立する技術により,高機能な分布型光ファイバセンシング技術にも貢献する. 本年度は,まず,光源に新たに櫛形スペクトル光源「光周波数コム」を用いることで,新たな光コヒーレンス領域リフレクトメトリを提案する.本手法に用いた光周波数コムは,コム間隔がkHz-MHzで,コム間隔を広帯域に変化させる必要があるため,コム間隔可変の光周波数コムを,ファイバリング型の共振器と位相変調器を用いて発生させた.コム間隔は、40MHzから80M地まで可変にすることに成功した.この光源を用いて光リクレクトメトリの原理確認実験を行い,空間分解能5cm,ダイナミックレンジ45dB,測定時間10sめ分布測定実験に成功し,本手法が空間分解能・ダイナミックレンジ・測定速度を併せ持つ反射率分布測定において有効であることを実証した.また,線形掃引光源を用いた光リフレクトメトリにおいて,反射率測定精度を向上するために,一回のフルレンジ光周波数掃引の間に採取した干渉信号を,複数のセッションに分け,それぞれのセッションから得られた反射分布を平均する,という新たな波長平均処理手法を提案した.これにより,複数回掃引・採取を要する従来技術における測定速度への制限や実際のレーザ光源の掃引速度からの制限などが解消した,加えて,本研究は,ブリルアン散乱を用いた分布型光ファイバセンシング技術の進展にも直接的に寄与している. 本年度の研究成果として,英文学会誌論文6件が掲載され,国際会議発表7件および国内学会・研究会発表22件も行っている.
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