2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現ネットワークのためのモデリング・解析・制御
Project/Area Number |
20360189
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
井村 順一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学(系)研究科, 教授 (50252474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 宰 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (40151295)
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Keywords | 遺伝子ネットワーク / ハイブリッドシステム / 非線形システム / 最適制御 / 緑膿菌 / モデリング |
Research Abstract |
本年度は,遺伝子ネットワークをハイブリッドシステムモデルの一つである区分的アファインシステムで表現するための手法と解析手法を開発した.また,緑膿菌における実験データを取得した.具体的には,以下のとおりである. 1. 緑膿菌の遺伝子ネットワークの中で基本となるネットワーク構造に着目することとし,lasR, rsaL, lasIの3遺伝子のみから成る遺伝子ネットワークにおけるAHL生産の経時変化の実験データを取得した.また比較として、rsaLが機能しなかった場合のデータも取得した.今後はこのデータをもとに緑膿菌の基本遺伝子ネットワークにおける数理モデルを構築する予定である. 2. 複雑な非線形システムモデルを離散状態近似して,新しい区分的アファインシステム表現を導出する方法を開発した.この手法のポイントは,結合系の離散状態近似を保存するための条件を導いたことにある.これにより,複雑な非線形部だけを離散状態近似し,残りの近似していない部分と結合することで新しい形式の区分的アファインシステムモデルが得られる.またこの近似モデルを用いて最適制御に適用する基本的な枠組みを構築した. 3. ネットワーク構造に着目した可制御性解析として,まずは,遺伝子発現の有無だけの情報を用いて最も簡単化されたブーリアンネットワークモデルに着目し,そのグラフ構造を利用することによって従来よりも大規模な系の可制御性解析ができる手法を開発した.ただし,可制御性解析は十分条件にすぎず,より保守性の低い条件を求めることが今後の課題である.
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