2010 Fiscal Year Annual Research Report
塩害を受けるコンクリート構造物の寿命予測の信頼性に関する研究
Project/Area Number |
20360195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横田 弘 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50344312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩波 光保 独立行政法人港湾空港技術研究所, 地盤構造部・構造研究チーム, チームリーダー (90359232)
加藤 絵万 独立行政法人港湾空港技術研究所, LCM研究センター, 主任研究官 (90371765)
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Keywords | 塩害 / 鉄筋コンクリート / 点検診断 / 非一様性 / 構造性能 / 暴露環境 / 予測 / 信頼性 |
Research Abstract |
平成22年度は、まず、鉄筋コンクリート構造物の塩害に影響を及ぼす各種不確定要因について取り上げた。塩害を受けた実際の鉄筋コンクリート構造物(桟橋上部工)から採取した試験体を対象に目視点検、コア分析等の診断を行い、劣化の進行に影響を与える不確定要因を明らかにした。また、コア分析結果のばらつきの程度を定量化するとともに、そのばらつきを数値化するための確率モデルを検討した。その結果、サンプルコア数と精度の関係、寿命予測の精度をより精度を向上させるためのサンプリング法について明らかにした。これらとともに、調査者の目視点検結果の信頼度を向上させるための提言を行った。 次に、上記の採取試験体を対象に載荷試験を実施し、実際に部材が保有する構造性能を定量化した。その結果に基づき、構造性能のばらつきと診断結果との整合性を評価した。特に、目視により判定した劣化度と構造性能の関係では、外観に変状が認められる構造物の耐荷性は初期値を下回る可能性があるが、その程度を明らかにするとともに、これらを確率的に取り扱う手法について検討した。 不確定要因を考慮した構造性能評価に関して、鉄筋腐食の発生確率、鉄筋腐食による部材の耐荷性と残存寿命の推定におけるばらつきの影響を検討した。劣化度と部材の耐荷性等の構造性能との関係に見られる広範なばらつきは、部材の耐荷性が変状の発生位置や局所的な鉄筋断面減少量に影響されることや,目視による劣化度判定基準にこれらの項目が含まれていないことに起因することを明らかにした。これらの結果を踏まえて,極値統計理論に基づいて部材の劣化度から耐荷性を推定する手法を構築し、桟橋上部工全体における部材耐荷力の最小値を推定する手法を提案した。これに基づき、寿命予測の推定精度について明らかにした。これらの結果を、実際の維持管理業務に適用する観点から総合的にとりまとめた。
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