2010 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケールでみる気泡を有する地盤の浸透破壊のメカニズム解明と対策法の提案
Project/Area Number |
20360210
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 健一 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (50271648)
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Keywords | 浸透破壊 / 気泡 / 過飽和水 / 進行性破壊 / PIV / SPH / 連成解析 / 不飽和 |
Research Abstract |
本研究では,地盤の間隙内に閉じ込められた圧縮空気の塊(大きな気泡)や間隙水から発生したミクロな気泡が発達・移動することで地盤を劣化させる現象に着目した.気泡を有する地盤の浸透破壊メカニズムを模型実験,数値計算や事例解析から解明し,対策方法を検討した.その際に,水流に伴う細かい粒子の流出が粒度の変化(材料の変化)をもたらし生じさせる極局所的な変形・破壊(地盤内のミクロな損傷)とそれが累積することで生じる流動的大変形(マクロな破壊の進展)といったように,マルチなスケールの視点から現象を捉え,ミクロ-マクロの相互関係を考慮した。 その結果,1)DEMを用いて細粒分流出時の粒度の変化に伴うマクロ挙動である限界状態の変化,変形・破壊挙動とミクロ構造の変化との関係を明らかにし,構成モデルを構築した.それをSPH解析に取り込むことで,粒度分布変化の影響を考慮した新しい視点の浸透破壊解析を可能とした.2)降雨浸透や河川水位の上昇に伴う間隙空気塊の挙動を把握した.無対策の堤防では,降雨浸透や河川水位の上昇により空気圧の上昇やブロー現象が確認されるとともに,天端にクラックが生じ,堤体内に圧縮空気が封入されることによって,堤体に損傷を与えることが模型実験でも確認することができた.3)不透気遮水シートによる浸透防止対策工ではシート直下の空気圧が上昇した.越流時にはこの間隙空気が堤防へ突発的な損傷を与えることが予想される.また,透気遮水シート施工時には,浸潤線の経時変化から堤体内から外部へ早期の気泡放出が確認され,降雨浸透防止効果と間隙空気圧の軽減効果が生じることが分かった。
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