2008 Fiscal Year Annual Research Report
河川感潮域における出水時と平常時の遷移過程に関する研究
Project/Area Number |
20360217
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 忠晴 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50159696)
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Keywords | 水工水理学 / 環境分析 / 防災 |
Research Abstract |
以下の4項目について検討した。 計画準備:利根川の地形データ、河口堰放流量と河口潮位および16.5KP地点の塩分データを入手し、塩水楔の運動状況を概略把握し、観測計画を立案した。 塩水楔の運動状況に関する集中観測:観測方法をテストする予備観測を行った後、適当な規模の出水を待ったがチャンスが得られなかった。そこでこの分の経費を次年度に繰り越し、平成21年度に本観測を実施した。その結果、河道内を約10kmにわたって塩水楔が急速に後退していく様子を捉えた貴重なデータが得られた。この運動を既存の鉛直2D塩水密度流モデルで再現したところ、良好な結果が得られた。 底質分布の通年調査:平成20年6月から平成21年3月まで、各月一回の頻度で、澪筋に沿って2km間隔で採泥を行い、表層粒度分布を分析した。その結果、粒度分布は3つの基本粒度分布(シルト、細砂、粗砂)の重ねあわせで表現できること、中出水後には中流部でシルト分が消失すること、細砂が単独で現れることはないことなどがわかった。また化学分析の結果、炭素量はシルト含有量と高い相関を示すこと、pHとC/Nの間にも高い相関性のあることがわかった。また1μ付近にピークを持つ極細粒分が超音波洗浄によってコロイド粒子となり、有機物や栄養塩のキャリアとなり得ることがわかった。 流況シミュレーション:画像相関法と実体視法を併用して洪水航空写真を解析するシステムを開発し、利根川洪水の様子を解析した。次に2.5Dの洪水流モデルを作成し、洪水航空写真と比較して河岸渦の発生状況などを検討した。その結果、本モデルで洪水流の状況を概ね再現できることを確認した。3Dの塩水密度流モデルの構造を検討し、利根川を対象としたCIP-Soroban法による密度流モデルを設計した。
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Research Products
(2 results)