2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化時における河川流量変化の予測と対応策に関する検討
Project/Area Number |
20360219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立川 康人 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40227088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎葉 充晴 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026352)
萬 和明 京都大学, 工学研究科, 助教 (90554212)
KIM Sunmin 京都大学, 工学研究科, 講師 (10546013)
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Keywords | 地球温暖化 / 気候変動 / 河川流量 / 流出モデル / 洪水 / 渇水 / 流量変化 / 大気大循環モデル |
Research Abstract |
気象庁気象研究所によって提供される将来気候推計情報(現在気候実験:1978年から2002年、近未来気候実験:2015年から2039年、21世紀末気候実験:2075年から2099年の合計75年間)を用いて、日本の全河川流域を対象とする河川流量の75年間の連続計算を1km空間分解能で実施し、温暖化時の流量変化の可能性を空間的に示した。また、それをもとに治水・利水に対して、将来、注意を要する河川流域を検出した。具体的には以下を実施した。 1)日本全域を対象とした温暖化時の連続流量計算:気象研究所の大気大循環モデルによって計算される将来気候推計情報の中で、空間分解能20km、時間分解能1日の表面流出量と地中流出量を入力データとし、本研究で開発した1km空間分解能の日本列島全域を対象とした分布型流出モデルを用いて全国の河川流量を計算し、約4kmの空間分解能ごとに計算した流量データを記録した。 2)河川流量の変化特性の分析:1)で得た日本全河川流域の流量データを分析し、約4kmのグリッドごとに、年最大時間流量を抽出し、平均値や標準偏差の変化特性を分析した。また、抽出した年最大時間流量に一般化極値分布を当てはめて100年確率年最大時間流量を算定し、その変化を分析した。また、渇水を対象として年355日目流量(渇水流量)を抽出し、平均値や標準偏差の変化特性を分析した。また、抽出した渇水流量にワイブル分布を当てはめて10年確率の渇水流量を算定し、その変化を分析した。 3)流量変化可能性の空間分布図の作成と要注意流域の検出:以上の分析結果を空間的な分布図として示した。その結果、時間最大流量、日渇水流量、月平均流量のそれぞれについて明瞭な変化が見られる流域が存在すること、上記の変化は日本列島全域で一様に現れるのではなく大きな地域性が見られること、近未来気候実験で上記の変化が見られ21世紀末気候実験では一層その変化が明瞭となる傾向にあることが分かった。
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