2009 Fiscal Year Annual Research Report
下廃水処理プロセス中バクテリオファージの水処理性能との関連の解明と応用
Project/Area Number |
20360238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 弘泰 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (90251347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
味埜 俊 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60166098)
中井 裕 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80155655)
多田 千佳 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (30413892)
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Keywords | 下水処理 / 活性汚泥 / バクテリオファージ / パルスフィールドゲル電気泳動法 / DNAポリメラーゼ / 宿主細菌 |
Research Abstract |
本年度は活性汚泥処理水中のファージを制限酵素切断断片多型(RFLP)法によって分類する可能性について検討した。ファージDNAに対して制限酵素を作用させたところ、ほとんど切断されなかった。一方、ファージDNAをPhi29 DNA polymeraseを用いて増幅させて得られた産物は、制限酵素によって切断され、RFLPを行うことができた。この結果は、処理水中にあらわれるファージDNAがメチル化等による修飾をうけている事を示すものである。DNAのメチル化とそれによる制限酵素による切断からの保護は、ファージではなく宿主側についてよく知られている。また、それとの対比で、ファージDNAはメチル化修飾をあまりうけておらず、そこで、宿主の制限酵素によって切断されやすいと考えられている。今回の結果はそれとは逆の結果であり、非常に興味深い。従来の知見と異なる結果であり、再試験を繰り返し、得られた結果の再現性をなお確認した上で、公表したい。また、Phi29 DNA polymeraseによる増幅産物のRFLPパターンは、PFGE法による分離結果よりもさらに変化を鋭敏に捉えることができるとの結果も得ることができたが、結果の信頼性について、なお慎重な検討が必要である。 また、畜産廃水を処理する活性汚泥から、サルモネラ菌の宿主・ファージ系をいくつか確立することができた。その系を用いて、溶菌に伴って上清中に宿主のDNAが放出されないか検討した。 さらに、いくつかの下水処理場・畜産廃水処理設備から活性汚泥上清または処理水を収集する体制を整えた。
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