2010 Fiscal Year Annual Research Report
性能可変オイルダンパーにより長周期巨大地震時の免震建物過大変位を抑制する技術開発
Project/Area Number |
20360246
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 範夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50250725)
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Keywords | 性能可変オイルダンパー / 免震建物 / 長周期巨大地震 / 過大変位 / 応答抑制 |
Research Abstract |
本研究では、設計で想定されている地震動を上回る巨大地震動や、長周期地震動を免震建物が受けた場合の、免震層の過大変位抑制を目的としている。本年度は、以下の2項目の研究内容を予定していたが、2項目ともに実施することができた。以下に項目別の研究成果を示す。 1.すべり支承免震試験体による振動加振実験とその評価(動的実験) 作成したすべり支承に、今回開発したユニフロー式性能可変オイルダンパーを設置し、振動台実験によってその特性及びダンパーの効果を検討した。また実験結果と事前のシミュレーション解析結果を比較検討し、解析モデルの妥当性およびその修正を試みた。その結果、シミュレーション解析結果は実験結果を非常に精度よく追跡することができることを明らかにした。また、すべり支承の挙動が非常に安定していること、性能可変オイルダンパーを設置することで、免震層の応答変位を効果的に低減できることを明らかにした。 2.戸建免震住宅への適用性検討 戸建免震住宅を想定して、過大応答抑制をめざした性能可変オイルダンパーを設置した場合の応答を地震応答解析で検討した。検討には、最適設計手法を利用して、上部建物の応答加速度の上昇を低減しつつ、免震層の応答変位の抑制効果を最大にできるダンパー性能を模索した。また、目標性能を地震動の入力レベルごとに設定し、それらすべてを満たす可能性について検討した。その結果、従来の粘性系ダンパーでは設計条件を満たすことは不可能であること、本研究で提案した性能可変オイルダンパーでは、設計条件を満たすことが可能であること、を明らかにした。 以上の研究成果から、性能可変オイルダンパーを用いることで、現行の免震建物設計の問題点である巨大地震時の免震層過大変形を抑制出来る可能性を明らかにした。
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