2010 Fiscal Year Annual Research Report
東海・東南海地震の広域巨大災害における構造被害データ収集のための建物強震観測戦略
Project/Area Number |
20360250
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飛田 潤 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (90217521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福和 伸夫 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (20238520)
護 雅史 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (40447842)
小島 宏章 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (40402557)
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Keywords | 強震計 / 地震応答 / 構造被害 / 校舎 / 構造ヘルスモニタリング / 強震動予測 / 地理情報システム / 防災教育 |
Research Abstract |
本研究は、近い将来の東海・東南海地震において、西日本の広域で予想される膨大な建物構造被害の情報・資料を最大限に収集するために、広域・多数の建物に関する戦略的な強震観測体制を検討するとともに、名古屋圏において試験的に稼動することを目的としている。今年度の成果は以下の4点である。 (1) 地盤・建物、地震動や被害予測結果、強震観測記録など扱うウェブGISの構築について、多数の表層地盤ボーリング資料のデジタル化や強震観測記録の収集など基礎データ蓄積を継続するとともに、効果的な表示方法を開発した。さらに相互運用に基づき、地域や社会の情報とあわせて検討できる環境を整備し、広域の強震観測の展開について検討を行った。 (2) 自治体で更新された旧式の震度計を再整備し、インターフェースやデータ変換等の開発、性能確認などを行い、利用の可能性を検討した。結果として多数の観測機材を安価に整えることができ、これらを用いた観測建物の増加につながっている。 (3) 非専門家の協力による強震観測体制について、学校などを中心に実際の運用実績が蓄積されており、今年度は3月11日の東北地方太平洋沖地震における東海地域の記録が多数得られた。また高校と連携した理科・社会科教材の提案も試み、強震観測を教育に結び付ける環境整備に一定の成果を挙げている。一般住宅でも観測を行い、関連して耐震化普及啓発の方法を検討している。 (4) 強震観測記録から建物被害を適切に評価するための機材開発・観測体制・データ処理技術について、これまでの鋼構造試験体に加えて、今年度はRC造試験体の実大振動台実験で観測を行い、強震計による建物応答と躯体損傷の評価手法を検証した。結果として、スタンドアロン設置の強震計の記録から、固有周期の変化や弾塑性応答の特性を十分評価しうることを確認した。
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