2010 Fiscal Year Annual Research Report
浮屋根と液体の非線形性を考慮した大型液体貯槽の地震時スロッシング理論の体系化
Project/Area Number |
20360256
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松井 徹哉 名城大学, 理工学部, 教授 (70023083)
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Keywords | 液体貯槽 / 浮屋根 / スロッシング / 長周期地震動 / 流体-構造連成作用 / ポテンシャル理論 / 流体非線形 / 構造非線形 |
Research Abstract |
浮屋根と液体の非線形性を考慮した大型液体貯槽のスロッシング解析法として,液体に対しては液面条件(運動学的条件,動力学的条件)を除く全境界条件を満たすポテンシャル理論の解析解を,浮屋根に対しては有限要素法を適用する結合解法を開発した。本解法によれば,液体領域や貯槽本体の要素分割を必要とせず,入力データ作成の労力から開放される上に,浮屋根部分のモデル化には既存の有限要素モデルを圧力影響マトリックスを介して液体部分と結合するだけで,浮屋根と液体の連成を容易に考慮することができ,浮屋根や液体の非線形性を考慮することも可能となる。本年度はこの解法を,2003年十勝沖地震で沈没・火災の被害を受けたシングルデッキ型浮屋根を有する円筒貯槽に適用し,被害原因の究明を試みた。さらに,本解法の妥当性を検証するために,縮小模型による振動台実験を行った。実験に用いた模型は半径800mmのステンレス鋼製円筒貯槽内部に塩化ビニル膜製のデッキ部とアクリル製の外周ポンツーンから成るシングルデッキ型浮屋根を浮かべたものであり,実機貯槽として想定した容量3万キロリットルおよび10万キロリットル貯槽との相似則を考慮して,断面寸法の異なる2体の浮屋根模型を用意した。浮屋根変位の計測には8台のCCD(固体撮像素子)カメラを用い,撮影した各計測点の映像をモーションキャプチャー処理によりデジタル波形に変換する方法を採用した。解析および実験の結果,以下の知見を得た。1)浮屋根の応答には,周方向1次の線形モードのほかに,液面や浮屋根の非線形性に起因する周方向0次,2次,さらに10万キロリットル貯槽の場合には3次の非線形モードが存在する。2)非線形モードの存在により,ポンツーンには鋼材の座屈限界を超える高応力が発生し,ポンツーンの損傷・沈没に結びついた可能性がある。3)ポンツーン応力には液面の非線形性よりも浮屋根の非線形性,特にデッキ部の幾何学的非線形性(膜応力効果)の影響が大きい。
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Research Products
(4 results)