2010 Fiscal Year Annual Research Report
日英のブラウンフィールド再生に関るステークホルダーの役割とスティグマ削減策の比較
Project/Area Number |
20360270
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 浩和 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20346125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 隆司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20182694)
小浦 久子 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30243174)
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30351240)
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Keywords | 土壌汚染 / 都市再生 / 未利用地 / 都市計画 / 国土開発 / 国際研究者交流 / 英国 |
Research Abstract |
本年度は改正土壌汚染対策法の影響についてヒアリング調査を実施するとともに、英国側研究協力者を日本に招聘しブラウンフィールド再生に関する日英共同シンポジウムを開催した。土対法改正に関しては、汚染調査の契機が拡大し自然由来の汚染も法対象となるなど臨海部の開発事業を中心に少なからず影響を及ぼしていること、今後増加が予想される形質変更時要届出区域のスティグマ削減策などが今後重要になることを示した。また日英共同シンポジウムは2010年12月10日-11日に大阪で開催し、海外から5編、日本から7編の研究成果が報告された。日英間では社会制度やコンテキストに違いはあるものの、環境法下での土壌汚染調査の実施率は両国において10%以下と推定されること、2008年の金融危機以降プラウンフィールドの中でもハードコアとされる放棄地の再生が難しくなっていることなどが指摘された。また学術講演は「土壌汚染対策」「生活環境とインフラ整備」「持続可能な開発と都市両生」の3つの観点から議論が行われた。特に汚染地再生の障害となるスティグマは、浄化対策以前と以降に分類でき、前者では対策に必要な手段とコストが未知であること、潜在的な障害への不安などが要因である一方、後者では浄化対策への信頼性や今後の健康被害拡大への懸念が要因であること、その削減策としては合理的な情報開示が不可欠であること、国際的な評価構造が必要であることなどが示された。また今後のブラウンフィールド再生を促進するには1.現在の経済不況を逆に好機と考えること、2.再生のためめ長期ビジョンを持つこと、3.官民のパートナーシップが必要であること、4.適切なインフラ整備を行うこと、5.個性的なブランド力を作り出すこと、6.関連する両生区域を包括的に整備することなどが重要であり、今後土地政策と環境政策を統合した国家戦略を明確にし、産業構造の転換から遊休地の活用、土壌汚染対策、都市計画、地球環境保全までを含めたトータルな社会的メカニズムの構築が必要であることが指摘された。
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Research Products
(6 results)