2008 Fiscal Year Annual Research Report
木造密集市街地における延焼シミュレーションの活用と防火対策
Project/Area Number |
20360279
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 達男 Kanazawa Institute of Technology, 環境・建築学部, 教授 (70125095)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 明彦 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (80308577)
永野 紳一郎 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40329371)
|
Keywords | 大火 / 延焼 / シミュレーション / 木造密集市街地 / 金沢 / 防火 / 避難 / 開口部 |
Research Abstract |
重要伝統的建造物群保存地区である金沢の「ひがし茶屋街」は、防火対策が希求される一方、木造建築の正面外観上、最も防火対策が難しい対象として研究的意義は大きい。茶屋街の外で出火した場合、火勢が増して延焼するため、より被害が大きくなると仮定したが、延焼シミュレーションの結果、茶屋街端部から延焼するため延焼に時間がかかり、むしろ茶屋街中心部からの出火において延焼は最も早くなった。また、正面開口部の木製を維持するために、2階開口部だけに防火対策を施した場合に較べ、1階正面にも防火対策を施した方が圧倒的に効果的であり、木造が密集する当地区では、放射熱の影響が無視できないことを認識した。最も防火対策が難しい対象に対して研究の端緒を開いた点で重要である。次いで金沢市における典型的な木造密集市街地として防災重点地区の「幸町・菊川地区」を対象とした。ここでは、まず、平均開口率を用いた簡便な延焼シミュレーション手法について検証した。平均開口率を採用した場合は、実測開口値を用いた場合より延焼が56%〜77%程度早くなった。その原因が無開口壁面の存在にあることを突き止め、平均開口率を用いた場合にも同様に現実の無開口壁面を設定した結果、実測開口値の延焼性状に近似させることができた。全国の自治体への普及に有効となる解決法として意義は大きい。具体的な防火対策の延焼シミュレーションでは、1階開口部のみの防火対策では効果は乏しいものの、2階開口部のみに防火対策を施した場合には顕箸な効果が認められ、全開口部への防火対策に比して実用性を高めた意義は大である。避難誘導については、指定避難場への経路に地震被害を想定した障害を設けたシナリオのもとで避難シミュレーションを実施した結果、避難者の渋滞による混乱および避難遅延等の支障を確認することができ、研究の展望を開いた点で重要である。
|
Research Products
(3 results)