2010 Fiscal Year Annual Research Report
木造密集市街地における延焼シミュレーションの活用と防火対策
Project/Area Number |
20360279
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 達男 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (70125095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 明彦 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (80308577)
永野 紳一郎 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40329371)
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Keywords | 大火 / 延焼 / シミュレーション / 木造密集市街地 / 金沢 / 防火 / 避難 |
Research Abstract |
延焼シミュレーションを用いた防火対策の研究である。重要伝統的建造物群保存地区である金沢の「ひがし茶屋街」は、最も防火対策が困難な対象であり、研究的意義は大である。延焼シミュレーションによれば、同茶屋街で火災が発生し、地震等により消火活動が行えない場合は118分間で全焼する。そのため、景観に支障のない街区の背割線位置で防火対策を検討した。茶屋街の空間モデルを作成して実験シミュレーションを行った。動勢を観察するため無風状態とした。コンクリート等の防火塀を設けた場合、高さを2.5mにすると裏家の1階開口部に効果がある。塀のない場合の17分を20分に遅延した。同じく高さ6mの樹木で遮れば4分の遅延効果が得られる。土蔵を設ければ、6分以上の遅延効果がある。また、隣家間の側壁に防火性能をもたせれば、4分の遅延効果がある。次に防災重点地区に指定されている「菊川地区」で検討した。典型的な木造密集市街地の実例として意義は大きい。無風時での火災発生後120分たっても延焼を広げる危険区域がある。城下町時代には足軽が居住した土地柄である。当時の足軽居住地(平屋)を空間モデルで再現した。前庭に高さ3mの緑樹帯を設定すると延焼を完全に妨げた。明治から昭和戦前にかけて建てられた足軽屋敷を祖型とする2階建の木造家屋が残っている。隣家の2階側面開口部を網入ガラスにすると17分が20分に延長され3分の遅延効果を得た。同じく1・2階とも網入ガラスにすると実に14分の遅延効果を得た。さらに側面に開口部が無い場合は28分の遅延効果を得た。以上のように、文化財を含む「ひがし茶屋街」では、防火対策により3分から6分の遅延効果を得、同様に「菊川地区」では3分から28分の遅延効果を得た。避難シミュレーションでは、地震時等の同時多発火災において避難場所が使えなくなる場合を想定して、どこに問題点が存在するかを明らかにした。
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Research Products
(3 results)