2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本人による近代都市計画事業における歴史性の認識に基づく計画・事業に関する研究
Project/Area Number |
20360286
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 理 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60212081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80151372)
笠原 一人 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (80303931)
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Keywords | 近代都市計画 / 歴史性 / 植民地 / 都市計画史 / 歴史遺産 |
Research Abstract |
本研究は、日本人によって行われた近代都市計画・事業において、都市の「歴史性」がどのように認識され、計画に反映され、実際に具体化されたのかを明らかにすることである。本年度の実施計画にしたがい、(1)国内調査対象の都市ごとの都市計画事業について詳細を明らかにした。東京、名古屋、京都などを対象としたが、その分析の中で、特に、京都における都市計画事業において「歴史性」がきわめて強く、また特徴的に現れた三大事業の実際について、論文として公表し、国際会議でも発表した。そこで現れた市会、参事会、土木技術者などの関係に見られる計画事業の主体をめぐる変遷に、都市の「歴史性」の認識の有り様が明らかになったと考えられる。(2)旧植民地の調査対象の都市ごとの都市計画事業について詳細を明らかにした。とりわけ、ソウルの都市周辺部に設置された「保健広場」の実態について明らかにし、その内容を発表した。そこでは、軍事と衛生と歴史が相互に関係する都市計画の実態が明らかになった。(3)都市計画技術者・官僚について、その人脈的整理を行った。これについては、(1)の研究から、京都における技術官吏の変遷が明らかになったことを受けて、そこで使われた名簿史料をもとに、国内、植民地に広がる技術官僚の全容を明らかにすべく、大学院生とともにデータベース構築の作業を行った。そこでは、伝統的な技術を背景とする技師から、東大・京大の土木学科で学んだ近代的技師への変化の実態と、旧都市計画法制定による内務省を中核とした土木技師のネットワーク化の実態などが明らかになってきた。なおこの成果は、今後、さらに検討を加えて公表する予定である。
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Research Products
(4 results)