2008 Fiscal Year Annual Research Report
マルチフェロイクスに関するマルチスケールシミュレーション
Project/Area Number |
20360287
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
毛利 哲夫 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (20182157)
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Keywords | クラスター変分法 / 連続変位クラスター変分法 / 格子振動 / 格子局所緩和 / 二次元正方格子 |
Research Abstract |
マルチラェロイクス現象のシミュレーションの鍵は、応力場や電磁場などの外的エネルギーの付与→電子・スピンの状態変化→原子変位→ドメイン(界面)の運動→インテリジェント機能の発現というマルチスケールプロセスの整合沖なシミュレーションにある。本年度は、原子変位に焦点を置いて以下の研究を遂行した。 従来のクラスター変分法は、replacive transformationを対象に大きな成功を治めてきた。特に我々は、replacive transformationの典型例であるorder-disorder変態を対象に平衡状態図の第一原理計算において先駆的な計算を行い、Fe-系2元合金系の実験状態図を高精度で再現できるレベルにある。これに対して、本研究では、マルテンサイト変態を中心とするdisplacive transformationをも取り扱う必要がある。この数年間、変位そのものを異なったspecies(原子種)と捉えることにより、displacive transformationを超多元系のorder-disorder transformationにmappingする手法を開発しつつあり、従来のクラスター変分法の新規な応用課題として取り組んだ。この新しい手法'を連続変位クラスター変分法(Continuous Displacement Cluster Variation Method;CDCVM)と称するが、特に、二次元正方格子上の規則一不規則変態を対象にした相平衡状態図の計算孝行い、従来のCVMとCDCVMの計算の比較検討を行った。CDCVMでは変態温度が低下することを確認し、さらに格子点周囲の原子分布も算出することに成功した。加えて、格子の熱振動の効果についても検討し、相変態に及ぼすDebye温度の影響について知見を得た。これらの結果は、従来のCVMを用いた相平衡計算を厳密化できることを示しており、加えて、マルテンサイト変態の記述に対してCDCVMが有用であることを示唆している。
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Research Products
(19 results)