2009 Fiscal Year Annual Research Report
Ti-Ni形状記憶合金における未解明な現象の解析と新機能の創出
Project/Area Number |
20360291
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西田 稔 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (90183540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 英治 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (80180280)
板倉 賢 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (20203078)
波多 聰 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (60264107)
池田 賢一 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教 (20335996)
松田 光弘 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (80332865)
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Keywords | 自己調整構造 / 第I種双晶 / 第II種双晶 / 変位型誘起逆位相界面 / 変位ベクトル / 多段階変態 / 粒界構造 / 透過電子顕微鏡 |
Research Abstract |
Ti-Ni系形状記憶合金の基礎物性において問題となっている諸現象を,透過電子顕微鏡(TEM)を駆使して系統的に解析し,得られた結果を基に本合金の特性改善と新機能創出の可能性を探ることを目的とした.平成21年度は特に下記の3点について詳細な調査を行った. 1. マルテンサイトの自己調整構造 自己調整の基本単位および理想形態として各々V字型の2バリアントおよび6バリアントクラスターについて現象論による解析を行い,理論的裏づけが得られた.さらに3バリアント,4バリアント構造についても同様の調査を行い,それらを形成するために4つの特徴的なバリアント界面が存在し,すべてのバリアント配列は4つの界面のいずれかを介したものであることが判明した.また結晶全体におけるバリアントクラスターの組み合わせ数は,2バリアントが12,3バリアントが24通り,4バリアントが12通り,6バリアントが4通りであり,これらの組み合わせの数と観察頻度に良い相関があることを確認した. 2. マルテンサイト結晶中の逆位相状界面 本研究グループが変位型変態誘起逆位相状界面と定義し解析を進めている逆位相状界面がTi-Ni,Ti-Pd,Ti-Pt等のTi系形状記憶合金に限らずNi-Mn-Ga合金においても観察され,熱弾性マルテンサイト変態に固有の現象であることが明らかになった。 3. 異常延性の起源と粒界構造との関係 粒界制御した試料を用いてHAADF-STEM観察を行い,[110]B2対称傾角粒界面にはNi原子が配列しやすい傾向があることが示された. 上記以外に広い変態温度ヒステリシスを持ち,かつ,水素透過合金としても注目を集めているTiNi-Nb擬2元系共晶合金のTiNi(B2)相とNb固溶体(bcc)相の形態および結晶学的特徴を明らかにする過程で,これらの合金が超伝導特性を示すことを発見した.
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