2008 Fiscal Year Annual Research Report
液相ナノ結晶工学の基盤構築と高輝度量子ドット蛍光体創製への応用
Project/Area Number |
20360299
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 Osaka University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80267640)
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Keywords | ナノ材料 / 量子ドット / 結晶成長 / 計算機物理 / 先端機能デバイス / カルコゲナイド / カルコパイライト |
Research Abstract |
(1)CuInS2量子ドットの生成相に及ぼす前駆錯体の配位子の効果:CuInS2量子ドットの合成においてこれまでに見出している、原料錯体の配位子に関係して生成相が閃亜鉛鉱型(ZB;低温相)かウルツ鉱型(WZ;高温相)に変化する現象を研究した。原料溶液のIRスペクトルから、InCl3の配位子がトリオクチルホスファイト(TOOP)の場合ZB型が、オレイルアミン(OLA)の場合WZ型が生成することを明らかにした。 結晶成長の観点から考察し次の機構を提案した。InCl3-OLA錯体の配位結合は弱く核生成頻度が高くなる。多くの核を生成したことで、成長段階での原料濃度が低下し、成長速度は緩やかとなる。結果、生成相は熱力学的に支配され安定相であるZB型が生成した。一方、InCl3-OLA錯体は配位結合力が強く、核生成頻度が小さくなる。核生成段階での原料の消費が少なかったため、成長段階での原料濃度は高く成長速度は大きくなる。結果、生成相は速度論に支配され熱力学的に準安定なウルツ鉱型が生成した。この機構をもとに、InBr3-TOOP錯体を用いるCuInS2の合成方法を開発し、広い波長域で発光波長が変えられるCuInS2の合成プロセスを見出した。 (2)ZnSe量子ドットの生成相に及ぼすZn前駆錯体の配位子の効果:酢酸亜鉛をZn源とし、Zn錯体の配位子としてカルボン酸あるいはアミンを用いZnSeを合成した。カルボン酸が配位子の場合、長鎖のオレイン酸(C18)ではWZ型を生成し、短いノナン酸(C9)ではZB型が生成した。炭素数が16で等しい直鎖のパルミチン酸と側鎖を持つ2-ヘキシルデカン酸はともにWZ型を生成し、配位子の立体化学効果は見られなかった。アミンを配位子とした場合、OLA(C18)、オクチルアミン(OA;C8)のいずれでもZB型が生成した。この現象の起源を現在検討している。
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Research Products
(12 results)