2010 Fiscal Year Annual Research Report
液相ナノ結晶工学の基盤構築と高輝度量子ドット蛍光体創製への応用
Project/Area Number |
20360299
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80267640)
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Keywords | ナノ材料 / 量子ドット / 結晶成長 / 先端機能デバイス / カルコゲナイド / カルコパイライト |
Research Abstract |
1. 各種有機分子の作用の実験的解明:昨年度行ったZnSe量子ドットを対象物質とした速度論的解析から、ウルツ鉱型が生成する場合は、初期の結晶が閃亜鉛鉱型が生成する場合より大きいことを明らかとした。この起源をカルボン酸とアミンとの配位力の観点から検討し、カルボン酸と亜鉛イオンとの結合は酢酸亜鉛とアミンとの配位力に比べ強く、過飽和度がカルボン酸では小さくなることを明らかとした。ノナン酸など鎖長の短いカルボン酸では、オレイン酸など鎖長の長いものに比べ過飽和度は大きくなり、閃亜鉛鉱型ZnSeが生成しやすいことを明らかとした。 2. 結晶成長速度の支配因子の実験的解明:量子ドットの光吸収スペクトルからサイズを決定し、初期における成長速度を検討した。その結果、臨界核ができた時点で結晶相は決定されており、その後は核と同じ相が成長するという成長メカニズムに到達した。このことは、ウルツ鉱型相が生成するような配位子を用いても、種結晶として閃亜鉛鉱型相を加えると、閃亜鉛鉱型相として成長するという実験結果からも支持された。 3. CuInS_2量子ドット高輝度蛍光体の作製とその薄膜化:昨年度提案した反応機構を確かめるため、各種の反応時間、反応温度でCuInS_2を合成し、それらの組成を調べた。原料からのInおよびCuの供給量が、反応初期ではIn>Cuであり、反応の進行とともにIn<Cuへと変化していることを明らかとした。反応条件を再検討し化学量論組成のCuInS_2量子ドット合成した。しかし、化学量論組成のCuInS_2からの発光は、欠陥を介した発光であり、励起子の直接再結合による発光は今のところ達成されていない。高輝度量子ドットができた場合の薄膜化手法としてLIQUID法の各種の実験パラメータの効果を調査し、EF-SEM像にて粒子形状が観察可能な、量子ドット固体膜の作製技術を確立した。
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Research Products
(12 results)