2008 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液科学に立脚した階層的集積化ナノセラミックスの合成と界面機能分野への応用
Project/Area Number |
20360302
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 宏明 Keio University, 理工学部, 教授 (70255595)
|
Keywords | バイオミネラル / バイオミメテッィク / 酸化スズ / マンガン酸リチウム / リチウム電池 / リン酸カルシウム / 水酸アパタイト / 細胞培養 |
Research Abstract |
具体的内容取り組んでいる物質系と界面機能は以下の2つである。 (1)酸化物およびリン酸塩ナノセラミックスによる電極機能への展開バイオミネラルに類似したナノ結晶の秩序化された種々の階層的構造体を構築する手法として、水溶液系における有機分子制御による結晶成長法および中間体経由法を開発した。具体的には、中間体経由の酸化スズナノメッシュ、有機ゲルあるいはキレート剤による多孔質およびナノシート状マンガン酸化物、有機還元剤による階層的リン酸鉄系化合物の合成が挙げられる。特に、多孔質マンガン酸リチウムでは、Li電池正極として優れたレート特性およびサイクル特性が示された。単純な酸化物粒子混合物と比較して階層的なセラミックス構造がLiイオンの脱挿入に有利であることが確認され、細孔径や結晶連結性などに関するさらなるナノ構造デザインへの指針が示された。 (2)リン酸塩ナノセラミックスによる生体機能への展開擬似体液や前駆体を用いる手法により水酸アパタイトなどのリン酸カルシウム系結晶のナノ形態および組成の制御に成功するとともに、形態によるタンパク質の吸着特性や、これらをユニットとするマクロには平滑な基板を用いて細胞との相互作用を調査し、生体との親和性を検討した。ナノ形態による特異なタンパク質吸着の可能性、および100nm以下のユニット結晶による骨芽細胞や繊維芽細胞の活性への強い抑制作用が見出された。最近では、より深い生命活動の理解のため、ナノレベル表面と細胞との相互作用が着目される。水酸アパタイトのナノ界面が細胞に及ぼすことが確認されたことは、新規な人工骨や細胞培養の足場材料の開発ばかりでなく、万能細胞への機能付与や、骨再生・リモデリングにおいて重要な知見を与える。
|
Research Products
(8 results)