2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ熔融領域の光学・熱動力学計測手法の開発とストレージ技術への応用
Project/Area Number |
20360303
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
桑原 正史 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 主任研究員 (60356954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 隆之 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 主任研究員 (10371048)
鶴岡 徹 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (20271992)
遠藤 理恵 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00372459)
|
Keywords | カルコゲナイド / 高温熔融 / 光学定数 / 電気伝導率 / 相変化メモリー / 光ディスク / 超解像再生 / 光スイッチ |
Research Abstract |
ナノスケールの熔融現象」をキーワードに、(i)「ラマン散乱法によるナノ熔融領域熱現象の研究」および(ii)「高温時における材料の諸物性測定方法の確立」の2つのテーマを主に研究分担者と研究を進めた。(i)のテーマは、装置の構築、基礎的な実験、論文投稿と一段落したため、今年度は(ii)のテーマに注力した。対象となる材料は光ディスクや相変化メモリーの記録材料であるカルコゲナイドである。この材料の固液体の物性は、ストレージ動作に大きな影響を与える。 カルコゲナイドの熔融状態に対し、電気伝導率、光学定数の測定を実行した。電気伝導率に関しては、試料の準備方法や測定プローブの開発に成功し、22年度は論文を2報投稿した。また、熱伝導率の測定に着手し実験を行っている。光学定数の測定では、高温熔融試料を特殊な石英セルに安定的に閉じ込めることに成功した。石英セルの壁厚や接着方法を見直すことで可能となった。このセルに代表的なカルコゲン材料であるSb_2Te_3を詰め、固体、液体のそれぞれの相に対し光学定数を波長300nm-1000nmの範囲で求めることができた。結晶、アモルファスとは全く異なる光学定数となることがわかり、透明化することがわかった。この結果により、光ディスクの超解像再生現象を説明することが可能となり、また物理的にも興味深い現象が含まれていることがわかった。現在は、実験についての論文を執筆中であるが、第一原理計算による透明化の理由について検討を始めた。また上記以外にも、近接場光での微小領域の結晶評価を行うべく、相変化メモリーの作製を行った。様々な工夫(透明材料による熱拡散)を行い、デバイスの動作を試みたが、未だにメモリー動作に成功していないのが現状である。また、カルコゲナイドを用いた新規光学素子の開発を継続して行っており、今年度は相変化方法について研究を行った。透明伝導膜の導入、高出力パルスレーザーの導入により、カルコゲナイドの結晶からアモルファスへの相変化を制御することに成功した。
|
Research Products
(8 results)