2009 Fiscal Year Annual Research Report
外場制御とその場TEM観察によるマルチフェロイック酸化物の構造・機能解析
Project/Area Number |
20360307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 恭和 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 准教授 (30281992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20154396)
赤瀬 善太郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90372317)
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Keywords | 電子線ホログラフィー / 電子顕微鏡 / ドメイン構造 / 強磁性体 / 強誘電体 / 電荷整列 / 強弾性体 / 外場 |
Research Abstract |
本研究では、マルチフェロイック系酸化物とその関連物質に注目して、材料特性に大きな影響を及ぼすドメイン構造(強磁性ドメイン、強誘電ドメイン、強弾性ドメイン、電荷整列ドメイン等)の外場依存性とその制御技術に関する知見を得ることをねらいに据えている。本年度の研究成果を以下に要約する。 (1)TEM内での電場印加・電流印加技術の開発:初年度に導入した冷却ステージを活用して、透過電子顕微鏡内での低温電圧印加実験の仕組みを構築した。集束イオンビームとスポット蒸着技術を利用して、薄膜化した酸化物試料の両端に電極を付設し、室温から液体窒素温度までの範囲で10^5V/cmオーダーの高電場を印加可能とした。また、これまで問題になっていた薄膜試料部への応力集中を緩和するために、サブナノスケールの金属配線に微細加工を施すなどの改善を行った。 (2)La系酸化物のドメイン構造評価:電場・磁場・応力場に応じて敏感にドメイン構造が変化するLa-Pr-Ca-Mn-O系酸化物を用いて、低温相のドメイン構造の生成機構を明らかにした。具体的には、強磁性の低温相の核生成・成長プロセスをその場電子顕微鏡観察で明らかにするとともに、強磁性相の界面移動に及ぼす外場効果を微視的に解明した。さらに、電子顕微鏡の観察結果だけを使って結晶磁気異方性定数などを精度良く決定する手法を新たに考案し、ナノ領域のドメイン解析技術に大きな進展をもたらすことができた。 (3)Fe系酸化物のドメイン構造評価:Lu-Fe-O系酸化物の低温電子顕微鏡観察を行ったが、絶縁性の増長に伴う帯電効果が予想以上に深刻で、ナノスケールのドメイン構造解析に支障をきたした。次年度は、比較的導電率の高い試料を併用するなどして、ナノスケールのドメイン構造の外場応答性を明らかにする計画である。
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Research Products
(6 results)