2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタ磁性形状記憶合金の薄膜化と磁場駆動アクチュエータ材料の開発
Project/Area Number |
20360308
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塚 誠 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (30241582)
|
Keywords | メタ磁性相転移 / マルテンサイト変態 / 形状記憶合金 / スパソタ膜 / 磁場誘起形状記憶効果 |
Research Abstract |
遠隔操作が可能な高速応答型の磁場駆動アクチュエータデバイスとして強磁性形状記憶合金を実用化するには,実用的な磁場で磁場誘起マルテンサイト変態を示す材料の開発が要求される.Ni-Mn-(X=In,Sn)系形状記憶合金薄膜では,強磁性オーステナイト相から弱磁性マルテンサイト相へと変態することをこれまでの研究で明らかにした.このように,メタ磁性相転移と熱弾性型マルテンサイト変態の両方を具備した本系合金では,磁場印加に伴う逆変態を利用した形状記憶効果,すなわち"メタ磁性形状記憶効果"が期待される.Ni-Mn-In合金熱処理薄膜では,Co添加に伴いマルテンサイト変態温度は低下し,キュリー温度は大幅に上昇することを昨年度に報告した.しかし,Ni_<45>Mn_<40>In_<15>合金と純Coの2種類のターゲットを用いて2源同時スパッタ法により作製されたCo添加Ni-Mn-In合金薄膜では,4 mol%Co以下においてマルテンサイト変態に起因した磁化の変化は確認されたものの,マルテンサイト逆変態温度がキュリー温度に近く,0.05Tの熱磁化曲線においてはマルテンサイト逆変態に伴う磁化の変化が小さく不明際であった.そこで,今年度は,Ni-Mn-In合金ターゲットの組成を制御してマルテンサイト変態温度を室温近傍に調整し,Co添加Ni-Mn-In合金におけるマルテンサイト変態温度を室温近傍でかつキュリー温度以下となるように制御した.この結果,0.05Tの熱磁化曲線においてもマルテンサイト逆変態に伴う磁化の変化は明瞭となり,磁場印加に伴うマルテンサイト変態温度の低下は約3K/Tとなった.また,マルテンサイト逆変態温度に近い温度領域に保持して外部磁場を印加した結果,弱磁性のマルテンサイト相から強磁性の母相へと変態する,いわゆる,メタ磁性相転移が確認され,磁場印可に伴いオーステナイト相が安定化されることを確認した
|