2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規な高鉄濃度鉄-半金属バルクアモルファス合金の創製とその形成機構の解明
Project/Area Number |
20360309
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 偉 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20400400)
竹内 章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (40250815)
湯蓋 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
木村 久道 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00161571)
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Keywords | バルクアモルファス合金 / アモルファス形成能 / 軟磁性材料 / 高飽和磁束密度 / 鉄基アモルファス |
Research Abstract |
Fe76Si9B10P5合金が発現する高アモルファス形成能の機構を明らかにするため、構造解析や非晶質相の熱安定性と結晶化過程に関して調査を行い、並行して、非晶質相中のFeと各半金属元素から成るクラスターモデルを構築し、分子動力学的手法により解析を行った。結果、典型的急冷アモルファス合金であるFe76Si9B15のBを特定量のPで置換した4元FeSiBP合金とすることでガラス遷移現象が発現し、P5%近傍で高いアモルファス形成能を示すことが分かった。また、高アモルファス形成組成では、典型的急冷アモルファス合金では析出することのない、複雑で大きな格子定数を有する初相の析出が確認されたことから、Pの添加によって、熱安定性の高い局所構造が形成されることが分かった。シミュレーションからは、添加元素Pはガラス相中の微細なクラスターを結合する役割を果たすことと、加熱によって生じる各析出結晶相の潜伏時間がPの添加によって顕著に増大することがそれぞれ示され、結果として高アモルファス形成能が発現することが分かった。他方、FeSiBPC合金についてもアモルファス形成能に及ぼす半金属元素の影響を実験的に調査した結果、各半金属元素はアモルファス形成能の発現と増大に必須であることと、最も高いガラス形成能を示す合金組成はFe76Si5.7B9.5P5C3.8であることが分かった。 他方、CuはFe基合金のアモルファス形成能の低下を促進するとされるが、FeSiBPCu合金では、0.3%までの添加はガラス形成能に明瞭な変化を生じさせないことが分かった。同時に、通常のFe基アモルファスが塑性変形をほとんど示さないのに対し、Cu0.1%添加合金はCu無添加合金と同様の熱安定性を有しつつ、4%に達する大きな塑性変形を発現することが分かった。この塑性変形能の増大機構を明らかにするため、電子顕微鏡観察を行った結果、Cu無添加合金は完全な非晶質構造であるのに対し、Cu0.1%添加合金では数ナノメートルの微細なbcc-Fe微粒子が非晶質母相に均一・多量に分散析出していることが分かった。
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Research Products
(19 results)