2008 Fiscal Year Annual Research Report
脆化相を媒介する有効析出相の微細分散組織制御法と生体用チタン合金の完全超弾性化
Project/Area Number |
20360310
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
細田 秀樹 Tokyo Institute of Technology, 精密工学研究所, 准教授 (10251620)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若島 健司 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (70016799)
稲邑 朋也 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (60361771)
|
Keywords | インテリジェント材料 / 安全・安心材料 / 組織制御 |
Research Abstract |
形状記憶合金の性能向上のためにはすべり変形を抑制する材料強化が重要なポイントとなる。しかし、Ti基形状記憶合金では有効な強化法が見つかっておらず、本研究では脆化を起こすことで知られるω相を有効に利用して材料強化をもたらす組織制御法に着目している。4〜7mol%Moを含むTi-Mo合金は形状記憶・超弾性効果を示し、Ti-Nb合金より強度が高い利点があるため、本年度は主にTi-Mo合金を対象とし、3d遷移金属元素添加による固溶強化と、多段階熱処理によるω相微細析出プロセスについて主に検討した。固溶強化のための第三元素としてV、Cr、Mn、Fe、Co、Niの六種類を選んだ。その結果、いずれの添加元素もマルテンサイト変態温度を予想以上大きく低下させ、このため作製したいずれの合金も明瞭な形状記憶・超弾性効果を発現しなかったが、V、Cr、Mnの添加は延性を、Fe、Co、Niの添加は強度を大きく増加させることを明らかとした。次に、中間温度熱処理によりω脆性を示しかつ形状記憶特性の良いTi-5mol%Mo-1mol%Mn合金を用い、析出強化の為の多段階熱処理によるu相微細分散プロセスの検討を行った。通常の熱処理では、α相は粗大に不連続析出するために、析出強化に寄与しない。ω相を微細に連続析出させるために、溶体化処理によりβ単相とした合金を低温時効し、中間遷移相であるω相を微細に分散させ、次に中温時効によってω相を核にα相を異質核生成させ、最後に高温時効により脆化相であるω相を消失させることで、β相内に微細なα相のみを分散でき、析出強化が期待できる。結果として、等温熱処理とTEM観察と硬度試験により、α相による析出強化の達成に必要となる本合金の時間-温度-変態曲線(TTT曲線)と、ω相からα相の異質核生成条件、および、三段階目の時効前に析出に伴う組成変動が起こることなどを明らかにした。
|
Research Products
(22 results)