2009 Fiscal Year Annual Research Report
Fe-Mn基合金における塑性変形初期過程の複合変形組織観察
Project/Area Number |
20360318
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
澤口 孝宏 National Institute for Materials Science, 材料信頼性萌芽ラボ, 主幹研究員 (30354161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 一行 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性萌芽ラボ, 主幹研究員 (60370318)
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Keywords | 耐震・耐環境材料 / マルテンサイト変態 / 双晶変形 / 原子間力顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡 / 降伏応力 |
Research Abstract |
Al/Si濃度比、Mn濃度、Si濃度を変化させたFe-Mn基合金(例えば、Fe-30Mn-4Si-2Al、Fe-30Mn-3Si-3Al、Fe-30Mn-6Si、Fe-30Mnなど)について、光学顕微鏡、原子間力顕微鏡、電子線後方散乱回折、透過型電子顕微鏡を組み合わせた観察により、変形組織中に生じるεマルテンサイト、γ変形双晶、プラナーすべり帯、および完全転位を識別して観察し、その変形挙動に及ぼす影響を調査した。 変形様式は、従来言われているように積層欠陥エネルギーの増加に従って、応力誘起εマルテンサイト変態→γ双晶変形→すべり変形と変化するのみならず、変形ステージによる変形様式のシフトも同じ順番で発生すること、ならびに、粒の方位によっても変形様式が異なることなどを体系的に明らかにした。粒の方位による変形様式の変化はShockley半転位と完全転位のシュミット因子の粒方位依存性の違いに起因すると考えられる。 また、初期塑性変形における3種類の板状変形生成物(ε、γ双晶、平面すべり帯)に共通する組織形態として、板の交差、板と各種界面(ランダム・整合双晶・非整合双晶)との反応、小傾角粒界の形成が観察された。これらは、半転位の運動による積層欠陥の形成とその積み重なりによって形成される板状塑性変形組織に共通の特徴として、高マンガン綱の初期加工効果挙動を記述する重要な組織パラメータであると考えられる。 以上の結果は、本研究課題の目標である、高マンガン綱のマクロ降伏応力の支配因子解明の重要な手がかりとなるばかりでなく、近年新しい構造材料として自動車工業分野への応用が期待されているTWIP鋼の変形メカニズム解明にも寄与しうるものと期待される。
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Research Products
(6 results)