2010 Fiscal Year Annual Research Report
Fe-Mn基合金における塑性変形初期過程の複合変形組織観察
Project/Area Number |
20360318
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
澤口 孝宏 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性萌芽ラボ, 主幹研究員 (30354161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 一行 独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, フレッシュキャリア (60370318)
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Keywords | 耐震・耐環境材料 / マルテンサイト変態 / 双晶変形 / 原子間力顕微鏡 / 透過型電子顕微鏡 / 降伏応力 |
Research Abstract |
各種高マンガン鋼の初期塑性変形組織について以下の知見を得た。 1.相変態挙動と変形モードの関係に関する積層欠陥エネルギー(SFE)による分類は、SFEとγ→εマルテンサイト変態の自由エネルギー変化が等しいとするOlson-Cohen仮説に基づくものであり、変形誘起εマルテンサイトの発生上限となる臨界SFE値は、Md点の自由エネルギー変化について、ε板の原子層厚さ、応力誘起変態に及ぼすShockley半転位の効果、なちびにひずみ誘起変形機構を考慮した補正を行うことによって整理することができる。 2.εマルテンサイトやγ変形双晶の核生成モデルとして提案されてきたポールメカニズム、完全転位分解(Mahajan)モデル、交差すべりモデルは、局所条件によりいずれも発生しうる。また、これに加えて粒界や焼鈍双晶界面から発生した先行半転位の運動もεやγ双晶を形成する。これらモデルに共通するεやγ双晶の発生条件は、積層欠陥の一方の端部が不動転位になっているか、後続半転位が何らかの形でトラップされて、他端のShockley半転位のみが運動する"単一半転位(monoparital)"の状態が実現していることである。 3.高マンガン鋼における双晶変形は、原子のせん断変位が協同的かつ高速に行われる瞬間双晶変形ではなく、転位の運動に起因する遅れ双晶変形である。同様に、γ→εマルテンサイト変態は、原子のせん断変位が協同的かつ高速に行われるウムクラップ変態ではなく、転位の運動が支配するシーブング変態である。
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Research Products
(6 results)