2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たな試験法を用いた高圧水素による材料破壊に関する研究
Project/Area Number |
20360321
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
緒形 俊夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, センター長 (20354243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 浩司 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, NIMS特別研究員 (90011121)
由利 哲美 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主任研究員 (10354242)
小野 嘉則 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主任研究員 (90354240)
|
Keywords | 金属材料 / ステンレス鋼 / 水素環境脆化 / 水素分析 / 応力の影響 |
Research Abstract |
金属材料の水素環境脆性に及ぼす水素圧、温度、応力、保持時間の影響と、.破壊直前に生ずると想定される水素の挙動の検出を試みるために、研究代表者が開発した試験片内空隙に高圧環境を設定する簡便な材料試験法を用いて、それぞれの条件を変えた試験を行うとともに、試験片周囲の水素の微量分析を行うため、平成22年度は、オーステナイト系ステンレス鋼において、応力を負荷した状態/破断直前の水素の拡散と移動の計算的アプローチのコンピュータシミュレーションを前年度に引き続き行うとともに、実際の試験結果との対応を行った。シミュレーションの元となる水素の拡散係数の温度や応力レベルによる拡散データを調査したが、従来の報告には十分なデータはなく、データを仮定した拡散量を用いて試算した。また実際の試験においては、試験片を取り付けるチャンバーの改良を行い、ガス検出精度の向上を図った。本研究においては、水素の拡散速度の遅いオーステナイト系ステンレス鋼においても、SUS304のように高圧水素環境の影響がある材料では、通常の引張強度より低い応力での破断直前に水素の急速な移動があると仮定したが、試験歪み速度を10^<-6>s^<-1>と十分に遅くしても、応力が負荷された試験中のガス分析結果では、破断直前の水素検出の有意な結果は得られていない。計算機シミュレーションにおいても応力や温度の影響について検討を重ねてきたが、結果として、水素の拡散速度が遅いオーステナイト相が、加工誘起マルテンサイト変態をして、拡散速度の速いα'相になっても、試験片表面にまで拡散するまでに水素濃度が低下してしまうことに対応していると判断するに至った。
|
Research Products
(4 results)