2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360323
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
木村 一弘 National Institute for Materials Science, 共用基盤部門データシートステーション, ステーション長 (30354236)
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Keywords | 耐熱鋼 / フェライト鋼 / 転位 / クリープ / 長寿命 |
Research Abstract |
火力発電プラントの一層のエネルギー効率向上を目指して,蒸気温度を700℃以上に高めるための技術開発が世界中で活発に行われているが,700℃以上の蒸気温度を実現するためには,高強度フェライト耐熱鋼の代わりにNi基超合金,あるいはオーステナイト耐熱鋼の使用が必要不可欠と考えられている。しかし,Ni基超合金やオーステナイト耐熱鋼は極めて高価であるばかりでなく,熱伝導度が小さく,熱膨張係数が大きいため耐熱疲労特性に劣る。したがって,安価で耐熱疲労特性に優れたフェライト耐熱鋼のクリープ強度と耐酸化性を飛躍的に向上させることができれば,火力発電プラントのエネルギー効率を容易に向上させることができる。そこで,転位密度の高い焼戻しマルテンサイト組織を有する既存の高強度フェライト耐熱鋼とは異なり,転位密度の低いフェライト組織を有するフェライト鋼について検討を行った結果,650℃で既存の高強度フェライト耐熱鋼よりも優れたクリープ強度を発現可能な新しい強化機構を見出している。本研究課題の目的は,フェライト組織とした15Cr耐熱鋼の700および750℃におけるクリープ強度特性を調べ,フェライト耐熱鋼を用いた火力発電プラントの蒸気温度上昇の可能性を明らかにすることである。当該年度の成果は以下の通りである。(1)これまでの検討結果を基にして,クリープ強度と衝撃特性のバランスに優れた供試鋼3鋼種を成分設計し,各鋼種50kgのインゴットを溶製した。インゴットは熱間圧延により厚さ約15mmの板に成形し,鋳造及び加工による欠陥がないことを超音波探傷により確認した。(2)上記供試材から丸棒引張クリープ試験片とシャルピー衝撃試験片を作成し,最長約20,000時間目標のクリープ試験を開始した。(3)新規材料の規格化や,700℃超級火力発電プラント等の新しい発電プラント技術の規格化に関する動向調査を目的として,ASME(米国機械学会)ボイラ圧力容器規格委員会に2回出席した。
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