Research Abstract |
本年度は,マイクロ金型の精密加工,表面処理,その評価装置の開発を行った. 具体的な研究成果は以下に示す. 1)マイクロ金型の微細形状加工とトライボロジー特性評価 超微細粒子超硬材料などの金型材料を用いて,プラズマイオンビーム加工を適用し,イオンビーム照射が金型表面への影響を調べた.適切な照射エネルギー及び照射角度を用いることにより,機械加工された金型表面粗さを低減することに成功した.そのトライポロジー特性について,マイクロ抜き加工試験を用いて評価を行った.その結果,表面粗さの低減及び表面物性の劣化がトレードオフの関係にあり,適切な照射時間の制御が重要であることが分かった. 2)マイクロ金型の潤滑性,耐摩耗性表面機能性に関する評価システムの構築 表面が支配的になるマイクロ成形加工では,金型表面にナノオーダーの平滑面及び高い機械強度が求められる.金型表面にイオン照射処理を施したもの,さらにDLC薄膜をコーティングしたものに対して,その潤滑性,耐摩耗を適切に評価できる2つの評価装置の開発を行った. a)ユニバーサル潤滑性,耐摩耗性評価装置の開発:精密3軸ステージと3軸荷重センサーを組み合わせたマイクロ金型の潤滑性,耐摩耗性評価装置を開発し,金型と素材との接触状態を任意に再現でき,そのときの摩擦状態をモニタリングすることとが可能である. b)高精密小型摺動試験機:素材の寸法効果がトライボロジー特性に及ぼす影響を調べる卓上型高精密小型摺動試験機を開発し,素材の材質,板厚,結晶粒径などの寸法効果を調べることができる. 3)マイクロ成形における金型表面性状が成形プロセスへの影響評価 金属薄材のマイクロ絞り成形を行い,金型の表面性状が成形性に及ぼす影響を調べた.マイクロ成形に適切な金型精度と表面性状を定量的に評価した. 上述のような研究開発成果は,今後マイクロ成形の実用化のための基本的なマイクロ金型加工技術,表面処理技術及びその評価技術を定量評価し,マイクロ塑性加工技術を確立させるものである.
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