Research Abstract |
本年度は,昨年度まで研究してきた各種マイクロ金型の表面仕上げや保護膜コーティングに関するトライボロジー特性評価実績に基づき,マイクロ成形における摩擦・摩耗のメカニズムの解析,およびマイクロ成形加工の適用事例として,マイクロ鍛造用金型の表面処理を施し,その効果に関する評価を行った.具体的な研究成果は以下に示す 1.マイクロ成形における摩擦摩耗のメカニズム解明 各種トライボロジー試験結果より,マイクロ板材成形におけるドライ摩擦の寸法効果を評価し,寸法の微小化に伴って,摩擦係数が低下する寸法効果を実証した.マイクロトライボロジーにおける寸法効果理論を元に,メゾ寸法領域における乾燥摩擦の寸法効果を分類し,メゾ寸法領域では,主に接触面にトラップされる摩耗粉に起因した掘り起こし項の寸法効果が支配的であることを理論的に明らかにした.マイクロ深絞り加工における寸法による接触挙動の違いを,実験的,数値解析的に詳細な検討を行い,箔材引抜型摩擦試験によって得られたメゾトライボ特性の実加工現象における適用範囲を検討し,その有用性を実証した 2.マイクロ鍛造金型の表面処理およびその効果の検証 マイクロ精密鍛造用金型表面にDLCコーティングを施し,摩擦力低減,耐摩耗性向上及び成形した製品の精度向上の効果について評価を行った.その結果,成形加工に適した耐荷重DLCコーティングを施すことにより,摩擦力の低減効果に加えて,耐摩耗性が向上した.また,振動付加精密鍛造の結果から,摩擦力の低減および振動付加による素材表面へのエネルギー集中効果により,静荷重の低減だけでなく,素材表面粗さが76%の低減したことが分かり,金型表面処理が大変有効であることが実証された
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