2009 Fiscal Year Annual Research Report
真空中固体表面場における高分子薄膜成長及びその界面制御への応用
Project/Area Number |
20360347
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
臼井 博明 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (60176667)
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Keywords | 表面・界面物性 / 高分子合成 / 超薄膜 / ナノ材料 / 電子・電気材料 / 蒸着重合 / 有機EL / パターニング |
Research Abstract |
有機電子デバイスの膜/電極界面は、密着性、電荷注入障壁、電荷トラップ、界面順位など多くの課題を持つ。そこで真空特異表面での蒸着重合によって、基板表面に安定な化学結合で固定された高分子薄膜を形成し、この問題の解決を試みた。特に有機デバイスで多用される酸化インジウム錫(ITO)表面に自己組織化の手法を用いて重合開始機能を持つ単分子膜を形成し、その表面に紫外線照射下でアクリルモノマーを蒸着することによって、ITO表面に安定な結合を持ち、表面平坦性にも優れたカルバゾールモノマーの薄膜を形成することに成功した。 次に重合開始点を膜中に分子分散することによって、光パターニングのための新たな手法を開拓した。特にカルバゾールモノマーと光重合開始剤を共蒸着することによって、光反応性有機薄膜を作製した。これに部分的に紫外光を露光し、有機溶媒で現像することによって、線幅10μm程度の微細高分子薄膜パターを形成した。さらにイリジウム錯体を同時蒸着することによって、同薄膜に燐光発光機能を付与することが可能となった。本手法より、蒸着シャドウマスクやフォトレジストを用いずとも、従来のフォトリソグラフと同様の手順で高分子薄膜パターンを形成することができる。 上述したような真空中での高分子薄膜形成手法を応用し、正孔輸送性高分子薄膜と燐光性高分子薄膜パターンを積層し、薄膜型有機発光素子(EL)を形成した。その結果、重合膜を形成することによって素子特性が向上するのみならず、パクーニングプロセスによる素子特性の劣化は認められないことが判明した。従って、本研究の手法は多色発光素子への展開も可能であると考えられる。
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