2010 Fiscal Year Annual Research Report
真空中固体表面場における高分子薄膜成長及びその界面制御への応用
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20360347
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
臼井 博明 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60176667)
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Keywords | 表面・界面物性 / 高分子合成 / 超薄膜 / ナノ材料 / 電子・電気材料 / 蒸着重合 / 有機EL / イオン照射 |
Research Abstract |
一般に基板表面に形成された有機薄膜は、基板に対して強固な化学結合を持たず、付着強度や形態安定性などに課題を持つ。有機電子デバイスの膜/電極界面は、電荷注入障壁、電荷トラップ、界面順位などの問題も生じる。そこで本研究では、末端に反応性官能基を有す自己組織化膜(SAM)を基板表面に形成し、この表面にモノマーを蒸着することによって高分子薄膜を成長させる表面開始蒸着重合の手法によってこの問題の解決を試みた。酸化インジウムスズ(ITO)表面をシラン系カップリング剤及びアゾ系重合開始剤溶液に浸漬し、末端にアゾ基を持つSAMを形成した。この表面に紫外線照射下でカルバゾールエチルアクリレート(CEMA)を蒸着した結果、表面平坦性及び均質性に優れたカルバゾール高分子薄膜が得られた。この結果はSAM処理による表面エネルギー修飾に起因するのではなく、膜/基板界面での化学結合の形成によって可能となることが示唆された。なお真空中の基板表面ではラジカルが1分間以上の寿命を持ち、効率良くラジカル重合が継続することも示唆された。 一方、真空中で基板表面にイオンビームを照射して活性点を形成し、同時に蒸着したモノマーから重合膜を形成するイオンアシスト蒸着重合法を新たに開拓した。イオン照射は物理的衝突効果によってラジカルを形成するため、ポリマーなどを含む幅広い基板表面に安定な化学結合を持つ高分子薄膜を形成できると期待される。本研究では50~100eVのArイオン照射下でフッ化アルキルアクリレートを蒸着した。その結果イオン照射なしでは高分子膜は得られないが、イオン照射を行うことでポリテトラフルオロエチレンと同等の低表面エネルギーを持つ薄膜が得られた。さらに一般にフッ素系高分子は基板表面への付着強度が低い問題点があるが、イオンアシスト蒸着重合を行うと密着性に優れた薄膜が得られることが見出された。
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Research Products
(48 results)