2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロウェイブ法によるナノフォーミングプロセスの開発
Project/Area Number |
20360348
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
車田 研一 Yokohama National University, 大学院・環境情報研究科(研究院), 准教授 (80273473)
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Keywords | nanofoaming / instantaneous temperature elevation / rigidity of matrix / deformation stress / pressure difference / closed porosity / densitmetry / polycondensation |
Research Abstract |
2008年度の本プロジェクトを以下のような具体的な方法で進めた。シリカ源としてTEOS(テトラ珪酸エチル)を用いた。TEOS 0.1molに水0.4molを加え,0.03gの1M塩酸を添加して2時間室温で攪拌して加水分解を完了させ,シリカゾルを得た。その後シリカゾルをそれぞれの所定温度で予備乾燥し,未加熱試料(以下GB(green body))を得た。このGBを様々な温度で急速加熱し試料を得た。得られた試料に対し窒素吸着,ヘリウム等温膨張法による密度測定,インデント法によるヤング率の測定及び透過電子顕微鏡(TEM)観察,被粉砕体粒子径測定,を行い,それらの結果を以下のように総合的に考察した。 (1)窒素吸着測定 GBはもともとマイクロ孔を有しているが,加熱しナノ泡が形成された状態ではほとんど全てのマイクロ孔が消失する。すなわち加熱時に発泡が起こり同時にシリカマトリクスの緻密化が起こるようである。これは残余水酸基の縮合重合が急速に進行し,シロキサン結合が高密度に張りめぐらされるようになるからであろう。この結果,縮重合が進む際に発生する気体種がシリカマトリクス内に閉じ込められ,ちょうど風船を膨らますようなかたちでナノ泡が形成されたと考えられる。 (2)ヘリウム等温膨張法 TEM観察でナノ泡が形成が観察されなかった場合,ヘリウム等温膨張法で測定された密度はアモルファスシリカの標準的な密度である約2200kgm-3であった。これに対し,ナノ孔が形成された場合は密度は有意(15〜35%)に小さかった。ナノ泡を包囲するシリカガラスのマトリクスがヘリウム分子を通さないほど稠密な構造を有していることを示している。ヘリウムのvan der Waals直径は2.4Aであるから,シリカガラスマトリクスを形成するシロキサン結合が形成するネットワーク構造のメッシュはこの値よりも小さいと思われる。 (3)ヤング率測定 安定した結果を得るためにシリカゾルをシリコンウエハー上にスピンコーティングし,膜厚約500nmとした試料で測定を行った。GBのヤング率は予備乾燥温度をあげるにつれて単調に増加した。シリカガラスのヤング率の増大はシロキサン結合の稠密化に直接相関していると考えられるので,この結果は稠密化がある決まった温度で一気に進行するのではなく,加熱の程度の増進にともなって順次進行することを示している。
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Research Products
(3 results)