2009 Fiscal Year Annual Research Report
Step-by-Step合成法の開発による新規ゼオライトの創出と応用
Project/Area Number |
20360355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 達也 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (40203731)
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Keywords | ゼオライト / マイクロポーラス / 自己組織化 / 構造規定剤 / 水熱合成 |
Research Abstract |
ベータ型ゼオライトは工業的に重要なゼオライトの一つであり、近年、コストや環境面への配慮から有機構造規定剤を用いない合成法の開発が望まれてきた。H21年度は、最近国外のグループにより報告された種結晶添加・OSDA無添加法によるベータ型ゼオライトの合成に注目し、反応混合物の組成範囲を拡張すると同時に、生成物の構造や結晶化機構について詳しく検討した。純水に乾式法シリカ、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム及び種結晶を加えて調製した反応混合物をオートクレーブ内で140℃、自生圧力下で水熱処理し、OSDA-freeベータ型ゼオライトを合成した。生成物の評価はX線回折(XRD)、電子顕微鏡(FE-SEM、TEM)、ICP-AES、窒素吸脱着測定、固体NMRなどにより行った。代表的な生成物のXRDパターンにはベータ型ゼオライトの結晶構造に帰属される回折ピークのみが見られた。このことから、種結晶添加法によって不純物を含まないOSDA-freeベータ型ゼオライトの合成が可能であることが確認された。さらに、OSDA-freeベータ型ゼオライトは従来の報告よりも遥かに広い反応混合物の組成範囲で合成可能であり、すべての点において高い再現性を示した。FE-SEMの結果から、OSDA-freeベータ型ゼオライトは約300~400nmの粒子径を有し、種結晶(OSDA-beta焼成品)の粒子径(200~300nm)に比べて大きいことがわかった。ベータ型ゼオライトの結晶化速度は種結晶添加量、種結晶のSi/Al比、反応混合物組成等によって変化した。また、種結晶を添加しない場合は、ベータ型ゼオライトの結晶化が起こらないことから、種結晶は反応混合物中で核としての役割を担っていると考えられる。以上の結果から、種結晶添加法において、反応混合物組成や反応条件等を制御することでOSDA-freeベータ型ゼオライトを再現性良く合成する方法を見出すことが出来た。
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Research Products
(6 results)