2010 Fiscal Year Annual Research Report
Step-by-Step合成法の開発による新規ゼオライトの創出と応用
Project/Area Number |
20360355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 達也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40203731)
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Keywords | ゼオライト / マイクロポーラス / 種結晶添加法 / 構造規定剤 / 水熱合成 |
Research Abstract |
1)種結晶添加法を用いた有機構造規定剤を用いないベータ型ゼオライトの合成 昨年度は反応混合物に予め合成したベータ型ゼオライト(ベータ)の種結晶を添加することで、従来必須である有機構造規定剤を用いずに、ベータを再現性良く合成する方法を見出した。本年度は種結晶有無による反応混合物を様々な条件で水熱処理して得られた生成物の評価を行い、これまで未解明であった種結晶添加・有機構造規定剤無添加の反応混合物系におけるベータの結晶化機構について検討した。X線回折、SEM、TEM、Raman、NMR及び高エネルギーX線回折の結果、種結晶の有無によらず、ベータが結晶成長する直前のアルミノシリケート前駆体構造には大きな変化は見られなかった。このことから種結晶は反応混合物から直接結晶化ずるのではなく、アルミノシリケート前駆体を液相から種結晶表面に供給することで、種結晶と同様の構造を有したベータを結晶成長させることを初めて明らかにした。 2)層状シリケートをビルディングブロックとしたゼオライトのトポタクティック合成 酢酸で前処理した層状シリケートRUB-15の焼成により純シリカソーダライトが得られることを初年度(H20)に報告したが、さらなる検討の結果、カルボン酸のアルキル鎖長と濃度が、得られる中間体の規則性とトポタクティック合成の成否を決める重要な因子であることを見出した。特に、適切な濃度の酢酸とプロピオン酸を用いた場合に結晶性の高いソーダライトが得られることがわかった。このソーダライトは数百ナノメートルの厚さの板状結晶であり、(110)が表面に並行に配向していることが確認された。本トポタクティック合成には、(i)層間カチオンのプロトン交換による層間距離の縮小とSiOH基の生成、(ii)中間体構造を安定に保つための層間へのカルボン酸のインターカレーションが重要な役割を果たすことが示された。
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Research Products
(5 results)