2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノリアクターによる特異な構造を有するナノ材料の創製
Project/Area Number |
20360358
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河瀬 元明 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (60231271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蘆田 隆一 京都大学, 工学研究科, 助教 (80402965)
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
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Keywords | ナノリアクター / チタニア / ロジウム / ナノカーボン / ナノ粒子 / 迅速昇温 / 熱分解 / 細孔 |
Research Abstract |
新しい概念の反応場であるナノリアクターを提案し,ナノ材料の合成を行った。市販の活性炭の細孔を反応場として用いて,アントラセンからのナノカーボンの合成,チタニウムテトライソプロポキシドからのチタニアナノ粒子の合成,ロジウム(I)ジカルボニルアセチルアセトナートからのロジウムナノ粒子の合成を行った。活性炭を減圧脱気したのち、反応原料蒸気を吸着させ,キュリーポイントパイロライザー(迅速誘導加熱装置)内で約3000K/sで500〜1100℃まで迅速昇温することによって熱分解反応を起こさせた。いずれの反応系でも5nm以下のナノ粒子が担体細孔内に高収率で得られた。良好な分散で高密度に分布した生成物であった。カーボンの場合,ナノリアクターなしでは20〜100nmのカーボンブラックしか得られないが,ナノリアクター中では2nm程度のグラフェンシートが2〜3層重なったナノカーボンが得られた。昇温速度が速いほど高い収率でナノカーボンが得られた。このナノカーボンは酸素との反応性が非常に高かった。チタニアの場合では,反応温度の上昇とともに収率が増加し764℃では50%を超える収率が得られた。比較のために緩速昇温実験を行ったところ収率は30%程度であった。迅速に昇温することにより,原料が細孔外へ散逸する前に反応させることに成功し,ナノ材料が合成されたといえる。さらに高温まで迅速昇温すると収率は低下した。これは副生する気体によって原料が細孔から排出されるためと考えられる。ロジウム合成の場合にも764℃で73%という非常に高い最大収率が得られたが,粒子サイズは4〜15nm程度と比較的分布が大きかった。このように,ナノリアクターはカーボン,酸化物,金属という種々のナノ粒子の合成に有効であった。
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