2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能集積型光触媒による高選択的有機合成プロセスの開発
Project/Area Number |
20360359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 Osaka University, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (70343259)
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Keywords | 光触媒 / 有機合成 / ゼオライト |
Research Abstract |
本研究では、無機種・有機種の精密制御により合成した新規光触媒を用いて、高効率かつ高選択的な有機合成プロセスを実現することを目的とする。固体表面上ヘバイメタル酸化物活性種を形成させることにより高度な光触媒機能を発現させるほか、ゼオライトなどの多孔体結晶を光触媒反応場として利用する新規多孔体光触媒を創製する。さらに、光触媒材料に「触媒」活性点を導入した、高次の触媒機能を有する融合型触媒の設計・開発を行う。これらの検討を通して、高難度の有機合成反応、例えばオレフィンからのエポキシドおよびケトン合成、ならびに芳香族アルキルと芳香族ハロゲンを原料とする炭素-炭素結合形成反応などの、従来の光触媒反応ではこれまで達成することの出来なかった有機合成プロセスを実現させる。 平成20年度は、芳香族化合物の選択的部分酸化プロセスについて、Ti酸化物を含むシリカゼオライト、ETS-10を用いて検討した。ETS-10は触媒外表面にTi-O-Tiの半導体性のナノワイヤーをもつものの、細孔内部には触媒活性点をもたない。ETS-10の光触媒活性を詳しく調べた結果、ETS-10上では、細孔よりも大きなサイズの分子や極性の低い化合物はよく反応するものの、細孔よりもサイズが小さくかつ極性の高い化合物は反応しない、極めて特異な光触媒機能を発現することを見出した。ESR測定などの分光分析によりこのような光触媒機能の発現する原因を明らかにした。このような光触媒機能を用いると、種々の基質の選択的酸化が可能である。例えば、トルエンからのベンジルアルコール合成、あるいはベンゼンからのフェノール合成などの、通常極めて困難な部分酸化反応が60%を越える高い選択性で進行することを明らかにした。
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