2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能集積型光触媒による高選択的有機合成プロセスの開発
Project/Area Number |
20360359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隆之 Osaka University, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (80208800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 康浩 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 准教授 (70343259)
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Keywords | 光触媒 / 有機合成 / ゼオライト / 酸化チタン / 白金 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究では、無機種・有機種の精密制御により合成した新規光触媒を用いて、高効率かつ選択的な有機合成プロセスを実現することを目的とする。固体表面上ヘバイメタル酸化物活性種を形成させることにより高度な光触媒機能を発現させるほか、光触媒材料に「触媒」活性点を導入した、高次の触媒機能を有する融合型触媒の設計・開発を行う。これらの検討を通して、従来の光触媒反応ではこれまで達成することの出来なかった有機合成プロセスを実現させることを目的とする。 平成21年度は、芳香族化合物の選択的部分酸化プロセスについて、酸化チタンナノ粒子を内包するメソポーラスシリカ光触媒を用いて検討した。本触媒は、疎水性の基質を細孔内部に取り込みやすい一方、親水性基質を取り込みにくい性質を有する。そのため、ベンゼンなどの疎水性化合物をフェノール類などの親水性化合物へ選択的に変換できることを明らかにした。また、Mg(II)でカチオン交換したゼオライトを光触媒として、アセトンのオレフィンへの付加反応を行うと、極めて効率的にメチルケトンを製造できることを見出した。さらに、酸化チタンにPtナノ粒子を担持した光触媒を用いて、アルコール中、フェニレンジアミン類の反応を行うと、極めて選択的かっ効率的に対応するベンズイミダゾール類を合成できることを明らかにした。これは、Ptによる励起電子の捕捉により、アルコールの酸化によるアルデヒド生成が促進されることと、Pt表面におけるベンズイミダゾリン中間体の脱水素反応の二種類の反応が効率的に進行するためであることを明らかにした。本反応は、酸や酸化剤を必要とせず、かつ室温条件でベンゾイミダゾールを合成した初めての研究成果である。
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