2008 Fiscal Year Annual Research Report
無機固体に構築した不斉反応場を利用する実用的不斉触媒の開発
Project/Area Number |
20360362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
實川 浩一郎 Osaka University, 基礎工学研究科, 教授 (50235793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Keywords | 触媒反応 / 不斉反応 / 反応場 / 固体触媒 / ディールスアルダー反応 / モンモリロナイト / 有機触媒 / 固定化触媒 |
Research Abstract |
本研究では高効率・高選択的な触媒反応を環境調和条件で達成することを目指して、固体無機物が形成する層間を反応場として有効利用する新規な触媒不斉反応システムの構築を行なった。本年度は、(1)結晶性無機固体に固定化した有機触媒による不斉反応の検討、(2)固体表面をマクロリガンドとする金属錯体触媒種の固定化の検討、(3)触媒活性種の固定化の検討、を行ない、このうち2つについて成果を得て、2件の論文発表を行なった。(1)についての研究成果を以下に述べる。 従来のC_2対称性を有する不斉配位子を用いた錯体触媒を固定化した触媒による反応と異なり、有機触媒の一種である不斉イミダゾリン化合物はC_2対称でない。これをイオン交換によりモンモリロナイトの層間に固定化した不均一系触媒を調製し、一般的な均一系での有機触媒によるDiels-Alder反応と比較して固体触媒としての特徴を検討した。結晶性層状無機固体であるモンモリロナイトの層間にイミダゾリン塩をイオン交換により固定することに成功した。この新規調製した触媒の反応性を検討したところ、均一系の場合と同様の活性および選択性を示した。さらに触媒を回収して繰り返し再使用しても活性の低下は見られず、本研究で調製した触媒はC_2対称性を有しなくても実用的な不斉反応に適することが判明した。さらに、層状粘土鉱物であるハイドロタルサイトを用いた新たな高結晶性無機固体の創成法を見出し、触媒表面解析装置を用いた固定化触媒の表面状態の解析および得られた結果をもとに、より高選択的な固体不斉触媒への展開を行い、有意な結果を得ている。
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