2010 Fiscal Year Annual Research Report
無機固体に構築した不斉反応場を利用する実用的不斉触媒の開発
Project/Area Number |
20360362
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
實川 浩一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50235793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Keywords | 触媒反応 / 固体触媒 / 不斉反応 / ハイドロタルサイト / 反応場 / マクロリガンド / アミノ酸 / 環境調和型反応 |
Research Abstract |
本研究では21世紀の化学が目指すグリーンケミストリーを実現する触媒を開発するため、結晶性無機固体化合物が形成する層間を触媒反応の場として有効利用する、新規な不斉反応システムの構築を行なった。本研究の今での結果および過去の論文報告を検討すると、従来の固体触媒では設計が困難であった単核金属活性中心を固体表面に設計できれば、その近傍に固定化した認識点との相互作用を誘導し、目的とする触媒が開発できる。既に不斉中心を持つ触媒活性種を層間に固定した新規触媒では高い不斉選択性の発現に成功したので、本年度はそれをさらに展開し、1.高い不斉選択性を発現させるための必須条件となる固体表面をマクロリガンドとする金属錯体触媒種の固定化と、2.不斉反応場を形成するためのアミノ酸を中心とするハード配位子の設計を検討した。 1. 結晶性層状化合物であるハイドロタルサイトの結晶化法を制御することで、従来よりも結晶性の高いハイドロタルサイトを調製することに成功した。また、層状粘土鉱物であるハイドロタルサイトを用いた新たな高結晶性無機固体の創成法を見出し、触媒表面解析装置を用いた固定化触媒の表面状態の解析および得られた結果をもとに、より高選択的な固体不斉触媒への展開を行い有意な結果を得ている。 2. 生体分子であり安価で容易に入手できるアミノ酸の利用は、金属を必要としない新しい有機触媒系として注目される。このハイドロタルサイトは、有機分子の吸着能をもつことから、ハイドロタルサイトへのアミノ酸分子の固定化による固定化不斉触媒の開発に着手している。現在、各種アミノ酸分子のスクリーニングと反応条件の探索から、不斉源及び酸化活性種として最適な構造の探索を行っている。
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Research Products
(14 results)