2008 Fiscal Year Annual Research Report
ピロロキノリンキノンによるアミロイド蛋白質の選択的構造形成制御
Project/Area Number |
20360369
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
早出 広司 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (10187883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池袋 一典 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70251494)
津川 若子 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (80376871)
ステファノ フェリ 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (90334474)
|
Keywords | αシヌクレイン / アミロイド / PQQ / ペプチド / 凝集線維化 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
本研究では神経変性疾患の原因物質である3種のアミロイド形成能力を有する蛋白質、パーキンソン病の原因蛋白質であるαシヌクレイン、アルツハイマー病原因蛋白質であるβアミロイドおよびプリオン病の原因蛋白質であるプリオン(マウス)に対し、それぞれの蛋白質の凝集線維化を選択的に抑制するPQQ修飾ペプチドを開発することを目的としている。初年度はαシヌクレイン対象とした研究を進めた。これまでの知見からPQQがαシヌクレインのリジン残基(Lys)側鎖とシッフ塩基を形成して結合していることが予測された。そこで、αシヌクレインを組換え生産し、超遠心分離機を最大限に活用し、効率的に高純度のシヌクレインモノマを調製し、PQQとともにインキユベートすることでPQQと結合したαシヌクレインを得た。この試料を数種類のプロテアーゼによって消化することで断片化した。同様に未修飾のαシヌクレインに対しても同様に解析した。さらに、αシヌクレインにおいて凝集線維化に重要な役割を担っていると予測されたNAC領域のペプチド(野性型ならびに変異型)をPQQを用いて修飾した。これらのPQQ修飾ペプチドとともに、全長αシヌクレイン凝集線維化実験を行い、PQQで修飾されたペプチドが有する凝集線維化抑制効果を評価した。その結果、特定の断片がPQQによて修飾されているときにのみ、αシヌクレイン全長の凝集線維化が抑制されていることが示された。特に、申請者らが既報のNAC領域に変異が導入され、凝集線維化能力を欠如した変異配列を有するペプチドがPQQによって修飾されたときに、凝集線維化の抑制が顕著であった。また、PQQ修飾全長αシヌクレインの消化断片においても、全長αシヌクレインの凝集線維化を抑制する分画が見出された。今後の、これらの分画に含まれるペプチドの配列を解明するとともに、それらの凝集線維化抑制能力を評価し、さらにその選択性についても評価する.
|