2010 Fiscal Year Annual Research Report
好冷微生物の低温環境適応を可能にする分子基盤の解明
Project/Area Number |
20360372
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70243087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 純 京都大学, 化学研究所, 助教 (90511238)
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Keywords | 生物・生体工学 / 微生物 / 特殊環境 |
Research Abstract |
1.S.livingstonensis Ac10の低温環境適応における低温誘導性内膜タンパク質(Ald、AtoS、DegP、FtsY、MreB、PspA、SdhA、SurA)の生理的役割を解析するために、それぞれの遺伝子破壊株を作製し、4℃と18℃での生育速度への影響を解析した。その結果、ftsY遺伝子破壊株とsdhA遺伝子破壊株は培養温度に関係なく生育速度が低下することが見いだされた。一方、pspA遺伝子破壊株とmreB遺伝子破壊株は、低温での生育能が低下したことから、PspAによる細胞膜の安定化、およびMreBの関与する細胞分裂、細胞骨格形成が、本菌の低温での生育に重要であることが示唆された。 2.S.livingstonensis Ac10は、高度不飽和脂肪酸の1種であるエイコサペンタエン酸(EPA)を低温誘導的に生産する。EPAは全脂肪酸の約5%を占める。EPA生合成遺伝子を破壊したとき、低温での生育速度が顕著に低下し、異常に伸長した菌体が形成されたことから、低温での生育や細胞分裂にEPAが重要な役割を担っていると考えられる。低温誘導性内膜タンパク質として同定されたPspAとMreBについて、EPAとの相互作用を解析した。各遺伝子を高発現するベクター(pJRDpspA、pJRDmreB)をEPA欠損株に導入することで、EPA欠損株の低温での生育障害におよぼす影響について解析した。その結果、pspA高発現プラスミドを導入することでEPA欠損株の低温での生育速度が向上し伸長した菌体の形成が抑制されることがわかった。以上の結果から、EPAの欠損は、PspAの生産量、もしくは細胞膜における安定性などの機能発現に影響しているものと考えられた。
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Research Products
(4 results)