2008 Fiscal Year Annual Research Report
硬質炭素膜を用いた極限環境適応型スマートコーティング
Project/Area Number |
20360380
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 敏行 Tohoku University, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 寛之 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (80325943)
竹野 貴法 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (00451617)
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10222621)
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Keywords | トライボロジー / 硬質炭素膜 / 耐環境性 / スマートコーティング |
Research Abstract |
本研究ではナノクラスタ金属を分散させた硬質炭素膜(Me-DLC膜)について耐環境機械特性及び電気伝導性を制御し、機能性の定量的な評価を行う。ここでは潤滑油を必要としない摺動部材としての極限環境に適応可能なスマートコーティング技術を確立することを目的としている。Me-DLC膜における摩擦摩耗特性と導電性の定量的評価を実施した。摩擦摩耗試験と同時に接触抵抗を測定する装置を用いることによりMe-DLCの動的な摩擦及び電気伝導特性を評価している。その結果、(1)導電率は金属種により異なること、金属種が同じであっても含有率の違いにより摩擦特性と導電性は大きく異なることが明らかになった。スパッタ電力100WでIrを分散させたIr-DLCではステンレス球との間の2000サイクルの摺動後の摩擦係数が0.07、接触抵抗7Ωの低摩擦係数・低接触抵抗を同時に達成することを見出した。(2)接触面の酸化が導電性に対して影響を及ぼすことを発見した。Wを分散させたW-DLC膜の摩擦試験において、摺動の過程で形成された移着層が酸化されたため、接触抵抗が大きく増加した。良好な導電性を得るには、移着層の酸化の影響を考慮する必要があり、大気中などの酸化される要因がある環境では耐酸化性を有する金属の添加が良いことが分かった。(3)Me-DLC膜において低摩擦・低接触抵抗を達成するには、移着層の形成が重要であることが明らかになった。摺動試験の初期なじみの段階で相手材であるボール表面に移着層が形成された場合に低摩擦・低接触抵抗を達成した。以上、Me-DLC膜により硬質炭素膜に導電性や耐摩耗性を付加機能として実装することが可能性であることを示した。
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Research Products
(11 results)