2008 Fiscal Year Annual Research Report
先進量子ビーム励起極表面分析を用いた高精度宇宙環境材料試験技術の開発
Project/Area Number |
20360382
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田川 雅人 Kobe University, 工学研究科, 准教授 (10216806)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 久美子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (20252794)
|
Keywords | 宇宙環境 / 量子ビーム / 宇宙材料 / 地上試験 |
Research Abstract |
本研究では地上における宇宙環境試験条件の精査と実宇宙環境との詳細な比較、ならびに第3世代放射光施設など先進量子ビームを用いた高精度表面分析を併用することで、地上実験精度(定性・定量性)を向上させ、宇宙システムの信頼性向上に資することを狙う。具体的にはASTMにより定められているリファレンス材料をターゲットとして、期聞内に以下の2つの疑問に対する明確な解答を得ることを目標とする。(1)宇宙と同じ反応を地上実験装置で模擬するには、どのような条件が必要か?(2)地上模擬実験に絶対的な定量性を求めるには、どのような条件が必要か?さらに、地上実験の精度向上を果たすために必要なリファレンスデータを軌道上で取得するという観点から、薪規な宇宙曝露実験への要求も明確化する。上記の点を明らかにすることにより、地上材料試験の定性的・定量的向上を図ることが本研究の目標である。平成20年度には世界的に原子状酸素地上試験標準機として用いられているレーザーデトネーション型原子状酸素試験装置を用いた場合に翻産物として発生する極端紫外線のフッ素系高分子に対する効果について検証した。レーザープラズマからの紫外線を遮断する高速回転チョッパーを用いた実験の結果、フッ素系高分子はレーザープラズマからの極端紫外線によりエロージョンが生じるものの原子状酸素との同時照射においても顕著な複合効果は見られないことが明らかになった。さらに172nmエキシマ光や重水素ランプを用いた実験でも同様の定量性のある結果が得られた。本実験結果から、これまでFEPは極端紫外線のため定量的な地上試験ができないとされてきたが、それが間違いであることが明らかになった。来年度にはこの現象の原因追求を目指す。
|