2010 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオン二次電池のリサイクル・再生利用に関する研究
Project/Area Number |
20360409
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
仁科 辰夫 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60172673)
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Keywords | リチウム電池 / リサイクル / 再生利用 / データベース / プロセス技術 |
Research Abstract |
リチウムイオン二次電池のリサイクル・リユーズに関して、以下を目的として研究を行った。 1.携帯電話用使用済み廃棄電池の収集とデータベース化 アンケート調査程度では有意な情報とはならず、使用履歴情報の収集は非常に困難であり、これをデータベース化するまでには至らなった。これを実施するためには、通信履歴をキャリア会社から得る必要があるが、個人情報保護法の点で一般研究のレベルでは無理があった。 2.劣化電池の安全な分解法の検討 昨年度に確立した電池分解プロセスに対する引き合いがあり、数社に技術指導を行った。また、この分解技術により、電池内部の劣化状況を正しく把握できるため、逆に電池の長寿命化に向けた技術開発に資するものとなり、セミナーでの講演依頼が殺到し、実際に企業との共同研究も立ち上がりつつある。 2.脆化・剥離した劣化電池コンポジットから活物質、炭素導電助剤、バインダを迅速に分離するプロセスを確立する 炭素材は負極活物質であるグラファイト系やアセチレンブラック系の導電助剤など複数存在する。これを合理的に判断・分離する手法を検討した。炭素表面の官能基の性質によって水に対する分散性が異なることを利用し、容易に分離することが可能であることが分かった。これは表面電荷の違いを利用するもので、分散媒の双極子モーメントがカギとなり、特にグラファイト系では4Debyeを境として分散・非分散が分かれることを見出した。 3.わが国、並びに米国、台湾、中国、フランスにおけるリチウムイオン二次電池のリサイクル実施、リサイクル技術の現状と将来計画に関する調査研究を実施する→国内での協力企業と共同研究を展開するまでに至った。電解液関係ではLi_2CO_3としてのリサイクルが有望ではないかとの分析結果を得ている。 4.上記結果を元に、各素材まで分離・精製している従来のリサイクル手法ではなく、廃棄電池の部材をできるだけそのままで再利用することによるコストの低減と低環境負荷性に優れたリユーズ志向の新プロセス技術を確立する→まだ途上であるが、需要とコストとの関係からターゲット物質の形の絞りこみができつつある。
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Research Products
(18 results)