2008 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオン散乱と分光学的複合手法によるリチウム酸化物中の水素に関する研究
Project/Area Number |
20360412
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 晋二 Tohoku University, 金属材料研究所, 准教授 (40208012)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 文 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90302215)
四竈 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
山本 春也 東北大学, 日本原子力研究開発機構・高崎量子応用研究所, 研究副主幹 (70354941)
|
Keywords | リチウム酸化物 / イオンビーム / 吸光度分析 / イオンチャネリング / 水素同位体 / スパッタリング / タングステン酸化物 / パルスレーザー |
Research Abstract |
平成20年度は、高速イオン散乱と分光測定を同時に行うため、発光測定用レーザー光源および試料冷却用小型冷凍機などを購入し、既存の真空槽に取り付け、調整を進めた。また、これら新たな実験装置の整備と並行して、既存の設備を用いたリチウム酸化物単結晶およびタングステン酸化物薄膜についてのオフライン実験を行った。 リチウム酸化物(LiAl02)の単結晶試料については水素イオン注入を行い、水素の捕捉状態および注入にともなう損傷をイオンビーム分析と紫外・可視吸光度分析によって調べた。イオンチャネリング実験では酸素原子とアルミ原子のはじき出される割合がほぼ等しく、また、損傷深さ分布は、注入イオンの投影飛程分布にくらべ試料深くに達していた。チャネリング収量のエネルギー依存性を調べた結果、注入の初期では孤立したはじき出し原子が観察されるが、照射量の増加とともに格子ひずみが現れ、後方散乱収量が急激に増加する。また、光吸収特性は照射量により著しく変化することが分かった。この結果は注入にともなうLiAl02の損傷が原子衝突はじき出しの効果だけによるのではなく、水素の侵入・捕捉が大きな役割を果たしていることを示唆する。薄膜試料としてはLiを含まない金属酸化物として酸化タングステンの作成をスパッタリング法およびパルスレーザー法によって行い, 水素挙動と光学特性変化を調べた。作成時の基板温度により非晶質、高配向性の構造をもつが、水素ガス暴露による着色は長周期的構造にはよらず、組成がWO3Hx(x=0.5〜0.8)である場合に起こる。大気中で熱処理を行い脱水素化をおこなうと、水素ガス暴露による着色は見られない。タングステン酸化物は500K程度で容易に酸素欠陥が回復し、プロトン伝導機能が損なわれると考えられる。
|
Research Products
(3 results)