2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオン散乱と分光学的複合手法によるリチウム酸化物中の水素に関する研究
Project/Area Number |
20360412
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 晋二 Tohoku University, 金属材料研究所, 准教授 (40208012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 文 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90302215)
四竃 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
山本 春也 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (70354941)
趙 明 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50512224)
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Keywords | リチウム酸化物 / イオンビーム / 吸光度分析 / イオンチャネリング / 水素同位体 / スパッタリング / タングステン酸化物 / パルスレーザー |
Research Abstract |
平成21年度は、リチウム酸化物単結晶(LiAO_2、LiTaO_3)およびタングステン酸化物薄膜(WO_3)についてのイオンビーム分析および光学測定実験を行った。とくにリチウム酸化物(LiAlO2)の単結晶試料については水素イオンとヘリウムイオン照射効果の違いをしらべることで、水素挙動を明らかにすることを試みた。イオンチャネリング実験で観測される原子はじき出し率は水素、ヘリウムに大きな違いが見られないが、その後の熱処理による回復挙動は大きく異なる。ヘリウム照射による格子の乱れは500K程度で回復するが、水素照射試料では700K程度まで回復が起こらない。このことは照射にともなう核的な衝突エネルギーの付与よりも、注入水素との化学的な相互作用が損傷の回復に大きく影響していることを示している。さらにこの結果は、Fセンターと同定される発光中心の形成が水素照射ではヘリウム照射にくらべ著しく少ないことと矛盾しない。このような水素との化学的相互作用の重要性はシリカや他の金属酸化物などリチウムを含まない酸化物材料でも観測された。たとえばシリカのイオン誘起発光のその場観察では、注入水素によるOH結合の変化により発光挙動すなわち欠陥形成挙動が異なる結果が得られた。また、酸化タングステンの水素挙動と光学特性変化の温度依存性を調べた結果300-700Kの温度範囲で水素ガス暴露による着色挙動に変化は見られないが、脱色反応の観察と膜中の水素分析結果からその着色機構は大きく異なり、500K以下では水素侵入により記こると考えられ、500K以上では酸素欠陥形成とH_2O放出を伴うことが予想される。
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Research Products
(12 results)