2010 Fiscal Year Annual Research Report
高速イオン散乱と分光学的複合手法によるリチウム酸化物中の水素に関する研究
Project/Area Number |
20360412
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40208012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四竃 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
趙 明 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (50512224)
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Keywords | リチウム酸化物 / イオンビーム / 吸光度分析 / イオンチャネリング / 水素同位体 / スパッタリング / タングステン酸化物 / パルスレーザー |
Research Abstract |
前年度に引き続きリチウム酸化物単結晶およびタングステン酸化物薄膜についてのイオンビーム分析・光学測定の複合実験を行った。平成22年度はとくにkeVとMeVのイオン照射にともなってLiTaO_3単結晶中に形成されるはじき出し損傷と光誘起発光中心との関係を調べることによって、酸化物セラミックス結晶に荷電粒子が入射した場合の電子励起効果について考察したほか、加熱再放出実験によって水素捕捉と欠陥との相互作用について検討をおこなった。5keVの水素イオンを注入した場合に観測される光誘起発光強度の減少は、後方散乱で測定されるはじき出し原子数増加に対応した変化を示した。一方で、1MeVの水素あるいは酸素イオンを照射した場合には、発光強度の減少に対して、はじき出し数にはわずかな増加しか見られなかった。光誘起発光の観察深さにおいて、MeV荷電粒子の場合、核的衝突効果に対して電子励起によって付与されるエネルギーの割合が大きいこと、また、チャネリング条件によって検出しているはじき出し原子が<001>原子列からずれた原子だけであることを考慮すると、MeVの荷電粒子入射では電子励起による発光中心の損傷が著しいことが予想され、はじき出された原子が<001>方向の原子列中の格子間原子として存在することを示唆している。室温で5keVイオン注入を行った後、等時焼鈍をおこなうと2段階で発光中心の回復が観測された。およそ400Kでまず発光中心の回復が見られ、注入後に室温で捕捉されていた水素の放出を伴うことから、注入水素は損傷した発光中心の近傍に捕捉されていると考えられ、さらに<001>軸からのはじき出し原子の回復は700Kまでは起こらないことから、水素捕捉が格子間型欠陥の近傍で起こる可能性を示唆している。
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Research Products
(13 results)