2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい高粒子束プラズマ源を用いたタングステン壁ヘリウム損傷過程の解明とその制御
Project/Area Number |
20360414
|
Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
高村 秀一 愛知工業大学, 工学部, 教授 (40023254)
|
Keywords | プラズマ・核融合 / プラズマ-壁相互作用 / タングステン / 繊維状ナノ構造 / ヘリウム損傷 |
Research Abstract |
1)プラズマ発生装置: 本研究のための中枢の装置であるAIT-PIDを完成した。プラズマ計測のための探針駆動についてもステッピングモータ制御の高度化により高速化の見通しがつき、より高密度プラズマの高信頼性計測が可能となった。プラズマ閉じ込めの方位角方向の非対称性についても検討を加え、論文としてまとめ、学会誌に投稿中である。 2)ヘリウム損傷の抑制: メタン導入設備を完成し、W表面に炭素被膜形成が可能となった。炭素膜形成によりナノ構造形成が完全に抑えられることが明らかになった。また炭素被膜の寿命はヘリウム・イオン等のスパッタによって決まることも明らかになった。 3)ナノ構造形成タングステンの修復: 修復については既に成功しているのであるが、TFGR-WがPM-WやITER grade-Wに比して修復し難く、プラズマ・アニーリングに要する時間が長く必要であることがわかった。これはTiCなどの混合物の添加が原因である可能性がある。 4)ナノ構造タングステンの表面物性 ・細い(0.5μmΦ)R型熱電対で黒色化に伴う温度低下(冷却)を放射温度計に頼らずに測定することによりナノ構造が形成されて黒色化したWの全放射率の値~0.45が得られた。 ・ArやHeプラズマに対するタングステン板への熱伝達係数を測定した。黒色化に伴いHeイオンのエネルギー反射係数の増加という新しい知見が得られた。また高温電子が存在する非マクスウェル分布の熱伝達係数を規格化シース電圧の関数として求めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タングステンのヘリウム損傷として重要な繊維状ナノ構造に関して当初以上の多くの知見が得られた。表面物性として(1)電子放出の抑制、(2)スパッタリングの抑制、(3)全放射率の増大の定量化、(4)イオンエネルギー反射係数の増大の定量化、そして損傷抑制としての炭素被膜効果。プラズマ・アニーリングによる修復の実証と材料製造方法による修復速度の相違の発見など。
|
Strategy for Future Research Activity |
W表面の繊維状ナノ構造形成の物理機構に注目する。そのためにタンタルなどの異なった高融点金属におけるヘリウム損傷発生条件をWのそれと比較する。例えば温度範囲が異なるとすれば何(例えば粘性率)が鍵であるのかを明らかにする必要がある。この上でMDシミュレーションや理論の専門家に知見をインプットして総合的にモデルに迫る。すでにWナノ構造形成温度領域ではTaの場合バブル/ホールの形成が認められた。より低温で高粒子束の照射ができるよう冷却機能を持った標的板を準備する必要がある
|